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レオタード2〜マッドハウス〜  作者: 大原英一
最終ステージ:若林芽衣
23/28

【4-2】

「よっつめ、これが最後です。田中さんの死因は──服毒によるものではなかった説」

「ははあ」

「突然の心肺停止。これは自己由来のものかもしれませんし、他者によって引き起こされたものかも……」

「デスノ○ト的な?」

「ええ、ちゃちな言い方をすれば、オバケによる呪いでも何でもかまいません」


「言っておくけど、オレにそんな力はないからね」と青山さん。

 べつに私は、幽霊である彼を揶揄したわけではない。そういう可能性もあるということだ。

 沈黙が訪れた。

 仮説を提示したはいいが、それを検証するための材料がほとんどない。また家宅捜索をはじめるか……しかし、ヘンに動き回るのもあぶないような気がする。

 青山さんはどう考えているだろうか。彼の言葉を私は待った。


「じゃあ、とりあえず家宅捜索(ガサいれ)しますか」

 やっぱり、そうきたか。私はため息を吐きつつ、

「正直、家のなかを動き回るのは怖いです。犯人が潜んでいるかもしれないじゃないですか」

「うん、さらに言うと、オレはいざってときにきみを守ってやれない。幽霊だけに」

「……そうですね、だったら、どこにいても一緒ですね。犯人が襲ってきたら私独りで応戦しないと」


「申し訳ない。でもオレ、壁抜けができるから、きみがドアを開けるまえに向こうの様子を見てくるよ」

「助かります」

 そんなわけで、めちゃくちゃ消極的な姿勢で私たちは捜査に乗り出した。

「キッチンから行きましょう」

 リビングとL字型につながっているらしいキッチンをまだ見たことがなく、興味があった。あと、いやらしい話だが冷蔵庫の中身にも。


「あれっ、」

 キッチンに入るなり青山さんが声を上げた。

 シンクのとなりに勝手口があり、そのことを言っているのかと思いきや、どうも見ているさきがちがうようだ。

 彼はゴミ箱を凝視したまま首を(かし)げている。

「ゴミ箱がどうかしましたか」

「──ヤバいよ、さっそく見つけちゃったかもしれない」

「はい?」


「第1ステージに、このゴミ箱はなかった」

「そうなんですか……」

 としか言いようがない。私は第1(ステージ)を経験していないから。

「あのとき、オレはしばらく勝手口の周りをウロウロしていたから、はっきりと憶えている。──ちょっと、なかを調べてもらってもいい?」

 それはペダルで天蓋がパカッと開くタイプのゴミ箱で、そこそこ大きかった。彼のリクエストで私はペダルを踏んだ。


 ゴミ箱のなかを見て胸がざわついた。

 ピザの箱が無造作に投げ込まれている。私が持ってきたピザリカではなく、べつのお店のものだった。ドミソピザ、と書いてある。

「ピザの箱を取り出してほしい──いや、待って。おそらく中身のピザは毒入りだ。見たところ、ほかにゴミは入っていないようだし、安全策を採ってゴミ箱ごとひっくり返そう」

 私は言われたとおりにした。


 がさっ、と出てきたのはドミソピザの箱と、食べかけのひと欠片(かけら)だった。

「アンチョビとオリーブのピザだ」

「田中さんが食べていたのと、おなじですね。お店はちがうけど」

「これをリビングに持って行って、ピザリカと比べてみよう。食べかけのやつだけでいい」

 食器棚からお皿を取り出し、それにピザの欠片を載せた。直接手で触れないようにペンで弾くようにして。


 なんだろう、このドキドキ感。田中さんの死因……その真相に近づいている感じがハンパない。

 リビングのガラステーブルに、みっつのピザを並べてみた。

 ひとつはキッチンから持ってきたドミソピザ、もうひとつは田中さんの死体近くに落ちていたピザリカ──両方とも食べかけのひと欠片である。

 最後のひとつはピザリカの箱に入っている、手つかずの数ピース。するとまあ、びっくりするくらい三者は似ていた。

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