文学に付いて
「絵の話もしたし、文学の話でもしようか?」
「いや~ん、文学苦手やで」
「なんでー、自分も文学部やろ?」
「ほな何よ」
「夏目漱石からやな」
「古典やん」
「うちに漱石全集あってんけどな」
「すごいやん」
「地震で全部俺の脚に落ちてきたので怖くて本はみんな泉南に送ったわ」
「なんや、勿体ないな。宝物やん」
「よかったでー。旧漢字旧仮名遣いやってん。そやからオリジナルの通りよ」
「古文の勉強になるわな」
「吾輩は猫である』はおもろかったで。あれは吾輩は猫だと言ってるが
実際には主人公が私小説であって、猫に自分を置き換えてんねん」
「ホンマ。そうとは知らなかったわ」
「このジョージ・ハリスンのずっこけええで」
「ちょっとだけやん」
「元々はずっこける時にカタッと音がはいるんやが、
今のバージョンは入ってないわ。」
「今日の音楽は?」
「タンホイザー序曲、芸文の前で弾いた事あるねんでー」
「へえー、大したもんやん」
「これはカール・ベーム指揮ドレスデン国立歌劇場やで」
「ええなあ。しびれるわぁ~」
「海水浴も佳境に入ってきましたな」
「君は、泳ぎ上手いからライフガードのバイトでもしいや」
「いやや」
「去年か一昨年にライフガードの女が人を助けるっていう小説書いたやろ」
「うん」
「あれのモデル自分やで」
「さよかいな」
「次もまた文学やろか」
「ええよ」