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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第三章 イングズ共和国動乱記
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88 偶然が生んだ再会

アグルが事情を分かった所で、今更ながらではあるけど自己紹介をする事になった。

まずはアグルに促される形でハンター組の五人が名乗る事になった。

「まずは俺からか。一応このパーティのリーダーをやってるランデルだ。あの時は助けられちまったな、今更だが礼を言う。今回はよろしく頼む」

最初に名乗ったのはやはりリーダーであった男性のランデル。

しっかりとした体格に、それに見合う大剣を振るう前衛担当らしい。

それでいて、なんと後進育成にも力を入れているらしく、若手のハンターからはそれなりに信頼と羨望を集めているそうだ。


「んじゃ、次はアタシか。アタシはメラン、あん時熊野郎にやられそうになっちまって、それをアンタに助けられた。次は油断しねぇから、よろしく頼むな!」

豪快が服を着ている様なこの女性がメランで、隣のランデルと並んでも見劣りしない、というかそれ以上に筋骨隆々な体をしている。

振るう武器は巨大な斧で、先陣を切って殴りかかるパーティーの切り込み隊長だそうだ。

ちなみに、ランデルが言うには彼女はその見た目に反して何と可愛い物を集めるのが趣味だそうで、顔を赤くした彼女が照れ隠しでランデルを埋まりそうなほどの勢いで殴っていたのが印象的ではあった。


「次は俺達かな。俺はリューカ。で、こっちが」

「私はリューナ。双子で一応私が妹、そっちが兄になってるわ」

「俺達は揃って後衛だから、貴女と肩を並べる事になるかな。よろしくね」

次が双子の兄妹であるリューカとリューナ。

二人とも後方での支援が担当で、リューカが強化、リューナが回復を主に担当しているらしい。

私から見てもこの二人の魔力量はかなり多く感じるし、双子故の以心伝心の連携は強みだろうし、ベテラン率いるこのパーティに居るという事は将来有望なのかもしれない。


「最後は僕か。僕はグランスだよ。趣味は料理、特技は的当て。好きな女性のタイプはキミかな、なんてね。まぁこんなだけど、仕事はしっかりやるから安心してね~」

軽いノリで挨拶をしたのはグランスで、細身でやや小柄な見た目通り、主に斥候や戦闘時には攪乱を担当するそうだ。

しかも、特技に的当てを挙げていたけど斥候として短剣を扱うのは勿論の事、時には弓を使って遠距離からの支援もするらしく、その腕前は特技と自負するだけはあるそうだ。


とまぁ、こんな感じで意外な所で再会した彼らの紹介が終わり。

「リターニアよ。色々あってフェオールから逃げ出してるの。とは言え、追われてる訳でも無いからそこは気にしないで。それよりも、あの時は余計な手出しをして悪かったわね」

余り多くは語れないから簡潔に自己紹介だけしておく。

それに、今にしてみれば私は彼らの仕事を横取りする形になってしまっているし、何かお咎めやら問題やらが出てないかは気になる所ではあるのも本当だ。

「ああ、それについては問題ないさ。予想外の魔物の出現もあったし、何より会長は話が分かるからね」

「それについちゃ報告は受けてる。寧ろお前さんにゃ感謝したい位さ。お陰でフェオールのお貴族様と繋がらずに済んだんだからな!」

右手をヒラヒラと振りながらランデルが答え、ラグルもニヤリと笑みを浮かべる。

まぁ確かに、アレのせいで色々と巻き込まれた訳だし、アグルの言う事も一理ある。

それはさておき、五人の役割も把握できたし私の立ち位置をハッキリ決めておかないといけないかな。

「じゃあ、皆の事は把握出来たし、私がどうすればいいか確認しときたいんだけど」

「ん?いや待ってくれ、寧ろ俺達が君に合わせるのでは?てっきりそうだと思っていたけど」

ランデルが最もな意見を口にする。

今回の件は一応私が発案したのだし、形としてではあるけど私が協力を要請されている側でもある。

なら、ハンター側としても私に従うのが道理だと考えるのも頷ける。

でも、私はそうは考えてはいないのだ。

何故かというと、本音を言えば全力を出す気が今はまだ無いからだ。

正直、一人で行けばそれこそどれだけの規模であろうと数秒で終わらせられる。

でも、今回わざわざこうしているのは以前にアグルが言っていたように魔獣討伐協会側の顔を立てる必要があるからだ。

集結したハンター達を穏便に解散させつつ、議会との摩擦を減らす為の建前を用意しないといけないのだから必然、結果を示さなければならない。

であれば、今回活躍しなければならないとは私ではなく彼等だ。

私の役割は彼らがその裏の役目を果たせるように努める、その一点に限る。

「魔物の群れの規模にもよるけど、私が出しゃばるよりもいつも通りの連携で立ち回れる方がいいでしょ?私は数を潰す方が得意だから、貴方達がそれなりに仕事をしてくれたら後始末をするって程度に考えてくれればいいから」

「そう言ってくれるのは有難いが、そこのところはどうなんですか?」

やはり完全には納得し切れないのか、アグルにも確認を取るようだ。

「あー、そうだな。そもそも魔物の詳細をまだ話しちゃいねぇか」

腕を組んで頷いた彼が、少しだけ考え込んで口を開いた。

「スマン。実はだな、群れと言うのは嘘なんだ」

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