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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第二章 アンスリンテス魔道国珍道中
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70 組織対抗戦・3日目

夜明けが近付く。

まだ暗いうちに魔導開発局第一を出た私は真っ直ぐアドネアの元へと足を向けた。

オーフェには静養をさせる為にも調べ物を頼んでいる。

フェオールで見た人を操る魔導具。

そんな危険な物が一体どこから流れ込んでいるのか。

万が一このアンスリンテスで作られているとしたら一大事どころじゃない。

だけどその可能性はまず無いだろう。

最早明白ではあるけど、あの時も今回も聖痕が関わっている。

加えて、フェオールでの一件は20年近く前の時点で既に魔導具が使われている。

つまりその時点で実用化されるだけの研究が進められていたという事でもある。

これが何を意味するのか。

アンスリンテスで起きている騒動とどう関係があるのか。

恐らく、アドネアとダゲッドはその一端を知っている。

そしてそれ以上にリーフェは深く関わっている。

当人の意志なのか、或いは彼女も魔導具により操られているのかまでは流石に分からない。

けれど、彼女の動きが不可解なのは間違いない。

操られているならまだ救いはあるけど、もしも己の意志で行動しているとなるとそれはそれでまた厄介でもある。

どちらにしろ、背後をある程度調べた上でリーフェとは接触したい。

使い魔達は常に張り付かせていたからリーフェ以外の動きは把握できている。

グウェイブ院長は私と話をした後から自ら動く準備をしていたから、日が昇ると共に動き出すだろう。

ダゲッドは姿の見えない私を探し出すのに躍起になっていて、色んな魔導具や人員を搔き集めているようだ。

ただ、それに加えて不穏な動きをしているのが実はアドネア。

昨日の襲撃で慌ただしくしているかと思いきや、何故かその日の昼過ぎにはもう普段通りにしているのだ。

正直、中断の判断が出ても不思議ではないはずなのに、彼女から何かしらの声明は発されていない。

さらに驚いた事に、昨日の襲撃はただの事故として扱われているらしい。

大きな騒ぎになっていないとは思ったけど、アドネアは今回の襲撃を把握していたのだろうか。

だとすると、アドネアとリーフェは繋がっている可能性もある。

その背後とどこまで関わっているかは流石に分からないけど、アドネアもアドネアで不穏な雰囲気を漂わせているのは確定的だろう。


そうこう考えているうちに空は明るくなり、町はいつも通り賑やかになってきた。

その喧騒に飲まれる前に私は中央議会の建物に辿り着いた、のだけど。

「これは、、、」

建物の周りに人の気配は無し。

それはまだ分からなくもない。

だけど、入口のドアは開け放たれ、そこから覗く内部にも人影は無い。

まぁ、付け加えるなら遠くに建物が見えた時点で明らかに何かしらの魔力に包まれているのが感じ取れていたから何かあるだろうとは思ってはいたけど。

アドネアは私が来ることを予期していたのだろうか。

或いは、自身も襲われるかもしれないと思っているのか。

どちらにしろ彼女と話をしないと先には進まないだろうし、罠に飛び込んだところで私に害が及ぼせるとも思えない。

寧ろ例の魔導具を出してくれれば色々と話が早く進んで良いかもしれない。

そこそこ警戒しつつ一歩足を踏み込むと、少しだけ体が重くなったように感じる。

聖痕に変化は無いから、単純に負荷を掛けるような魔導具だろうか。

気にせず奥へと進んでいく。

相変わらず人の気配は無く、不気味なまでに静まり返っている。

いや、上階に数人、何やら忙しなく動いているように感じる。

(何だろう、少し様子がおかしい?)

まさかオーフェの時の様に襲撃されている訳ではないだろうけど、それでも違和感がある。

少し速足で階段を駆け上がってアドネアの執務室へと急ぐ。

階が上がり目的地に近付くにつれて空気が張り詰めていく。

(これはまさか!)

意識を切り替えて何が起きてもいいように身構えた直後、けたたましい破壊音が響く。

次いで、数人に職員らしき人達が廊下に転がり出てくる。

その姿は服が所々焼け焦げ、傷まで負っている。

「嘘でしょ!?」

駆け出しながら彼らに回復魔法を掛けておく。

同時に自分に身体強化を掛けて一気に彼らが居たであろう部屋に駆け込む。

奥にある執務室のドアの前に三人の人影。

二人がナイフを構え、残る一人が魔力を高めて何かを放とうとしている。

私が身構えると同時にナイフを持つ二人がこちらに気付いて無言のまま飛び出してくる。

見た目は何処にでもいるような服装だけど、その身のこなしは相当な訓練を積んだ熟練者のもの。

何よりもその眼には一切の感情が見えない。

私が現れても顔色一つ変えないその胆力からして、考えるまでも無く暗殺者だろう。

問題は何処から遣わされたのか、だけど。

「とりあえず一人居ればいいか」

聖痕を二つ励起させて迫りくる暗殺者の動きを観察する。

ほぼ同時に構えているけど、向かって右側の男が身を引き気味に構えている。

先に仕掛けるのは左の男。

恐らく隙を与えない時間差攻撃が来る。

(そうと分かれば、、、っ!?)

迎え撃とうとした瞬間、その二人が左右に散会して、同時に目の前に炎の塊が飛び込んできた。

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