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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第二章 アンスリンテス魔道国珍道中
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57 代表者会議

穏やかな時間程あっという間に過ぎ去り、代表者会議が開催される日がやってきた。

この国の今後、そして私にとっても今後の立ち位置が決まる事となる大事な日だ。

それなりに気を引き締めてはいるけど、かと言って必要以上に気負ってもいない。

まぁ要するにいつも通りである。

午前の内はのんびりと過ごし、少し早めに昼食を摂り迎えを待つ。

しばらくすると、先日手紙を届けてくれたアドネア付きの女性が迎えに来てくれた。

「リターニア様、お迎えに上がりました」

相変わらず丁寧に頭を下げてくれるので、こちらとしても穏やかに対応ができる。

ソファから立ち上がりこちらも軽く頭を下げる。

「わざわざご苦労様、ありがとうね」

「いえ、これも仕事ですからお気になさらず」

軽く微笑むと、先導するように踵を返して歩き出したので、その後に続く。

外には彼女の他にも数名の職員が待機していたらしく、彼らに周囲を囲まれる形で会議の場まで案内される。

まるで要人みたいだなぁ、と他人事の様に思いながらも冷静に考え直して今は要人だったな、と静かに自嘲する。

しかしまぁ、お隣のフェオールでも聖女だなどと勘違いされた挙句なんやかんやと騒動の中心に立つ羽目になり、果ては自身の素性を晒す事になったばかり。

ようやく手にした平穏も瞬く間に騒動の渦中へと巻き込まれる事になり、、、

(もうそういう星の下に生まれたとしか思えないわねぇ、昔の事も含めて)

周囲の人々から向けられる様々な感情の入り混じった視線をさりげなく見回しながら小さく溜め息を吐く。

いや、この国に来てから何回溜め息を吐き出した事か。

思い返すだけでもまた溜め息が出てきそうで何とか堪える。


などと1人悶々としているうちにどうやら目的地へと着いたらしい。

職員がそのまま会議の場となる建物へ先導してくれ、その中へと入っていく。

階段を登り、3階へと案内される。

そこは議事場となっているらしく、100人は楽に収まる程の広さの部屋だったが、今はその中央に円卓が置かれ、そこに見知った顔が5つ揃って座っていた。

「お待たせしました、リターニア様をお連れいたしました」

促されて円卓へと向かい、空いている席へと腰を下ろす。

改めて集まった面々を見回すと、私の右にオーフェ、反対にはリーフェが座り私に気を使った配置だと思わせてくれる。

そしてオーフェの隣にはグウェイブ院長が座り、リーフェの隣にアドネア、残った一席に問題児のダゲッドが相変わらず偉そうに腕を組んで座っている。

ダゲッド以外が軽く頭を下げて挨拶してくれる中、最初に口火を開いたのはアドネアだった。

「さて、まずは皆さん集まってくれて感謝を申し上げます。特に、リターニアさんは本来無関係のはずにも拘らず、こうして応じて下さったのです。感謝と、改めて謝罪を申し上げます」

立ち上がりこそしなかったものの、深く頭を下げるアドネアと、それに続いて他の3人も頭を下げる。

まぁ案の定ダゲッドだけは適当に首を軽く下げただけだったけども。

「発端は一部の者の暴走であり、それを諫め切れなかった他の者の責であります。ですが」

アドネアが私以外の4人の顔を見回してから、言葉を続ける。

「既にお話しした通り、我々としても現状の国内事情をいつまでも放置する訳には参りませんでした。それは国民も同じ感情であり、そして国外に向けた物でもあります」

アドネアの言葉を引き継いで今度はグウェイブ院長が口を開く。

「このような事に無関係の者を巻き込むのは正直気が進まんが、未来ある、そして有能な人材をただ見逃すというのも痛手である。無論、其方の意志を無視してまで取り込むべきではないというのは言うまでも無く理解しておる。故に、我らの事を正しく認識してもらって、その上で判を下して頂きたい」

そこで円卓のそれぞれの前に資料が配られる。

全員がそれに目を通し、私もその内容を確認する。

「まず、今回の組織対抗戦は五日後。正午より開始します。期間は10日間、不干渉時間は日没から日の出までとします。そして内容なのですが」

「それについては一つ提案がありますよぅ」

アドネアの説明を遮ってオーフェがニッコリと笑みを浮かべるけど、何だか嫌な予感がする。

「今回はいつもと少し状況が違います。もう隠す事では無くなりましたからこその提案ですが」

ニッコリ笑みのオーフェが意味深な視線を私に向ける。

「リターニアさんは聖痕をお持ちです。その力が如何程の物かは言うまでもないでしょう。ですから、今回はそれを大いに活用しましょう」

ギョッとしてオーフェを睨みつけるけど、それを気にも留めずオーフェは続ける。

「今回の対抗戦は追いかけっこ!我々がそれぞれの力を駆使して目標を追うのです!そしてその目標は!」

バッと私の手を取り、高々と掲げる。

「リターニアさん自身です!」

私も、オーフェ以外の4人も、呆気に取られて私とオーフェを見つめる。

「リターニアさんを捕まえた組織が彼女を口説き落とす権利を得るのですよ!」

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