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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第二章 アンスリンテス魔道国珍道中
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51 相反する鏡

オーフェとリーフェ、双子の姉妹。

2人の印象を一言で表すなら、動と静、が一番しっくりする。

妹のオーフェはとにかく自身の興味にひた走り、ともすれば自分すらも道具の様に見做してとことん知的欲求を満たそうとする。

姉のリーフェは控えめで思慮深い、だけど自分の芯はしっかりと持っているといった感じか。

外見はまさしく鏡合わせ、だけども内面は相反する。

幾らか会話をしてみて抱いたのはそんなところだった。

特にリーフェは、昔からオーフェの暴走を諫めたりなんだりと苦労してきたようで、それが彼女の性格を形成する一因なのは間違いなさそうだ。

とはいえ、端から見てても姉妹仲は悪くは無さそうでもある。

個人的に思う所があるならば、それはやはり聖痕だろう。

普通の親子や兄弟姉妹でも、後から生まれた者が聖痕を宿したとなるとどうしても不和を生じる原因足り得てしまう。

忌々しいけども、それだけ聖痕の力は大きい。

そして、それが全く同時に生まれた双子ともなれば多くを察して余りある。

だけど目の前の2人はそんな事を感じさせない。

オーフェは言わずもがなだけど、リーフェも特に意識しているようには見えない。

それは喜ばしい事でもあるし、私自身がかつての人生での仕打ちを思い返した時にとても羨ましくすら思ってしまう。


同時に。


そう簡単に判断していい物でもないと、私の中の何かが訴えている。

拭い切れない違和感があるのも確かであり、多分それは私だからこそ気付ける物で、もしかすると当人すら気付いていないかもしれない。

だから、私はリーフェについては密かにダゲッドよりも警戒すべきであると考えている。


とは言え、それを間違っても面に出す事はしない。

本当に勘違いであるならそれでいいし、もしも何かしらを抱えていたとしても、2人は既に大人だ。

私が介入するまでも無く自分達だけで解決するだろう。

オーフェにしても、聖痕の意志に操られている気配は無い、というか、多分この子は聖痕の意志すら跳ね除けるほどに己に正直だ。

きっと、内に宿った聖痕の意志も困り果てている事だろう。

言い気味だ、と心の中でほくそ笑みつつ、改めて2人のやり取りに意識を向け直す。


「ですからねぇ、とにかくあのオッサンは要注意なワケなんですよぉ」

「私はアドネア女史も気を払うべきだと思うわ。例の噂、少し前から真実味が増してるって話だし」

いやね、私の事で話し合ってくれてる訳だし、加わるべきなんだけど。

実際問題、私はこの国の内情には全然明るくない。

誰がどういった思惑で動いているのかも当然知らないし分からない。

辛うじてオーフェの人となりが把握できたっていうところで、それで言えば今目の前に居るリーフェについてもまだ何も知らないのだ。

であれば、私がすべきは状況把握よりも、今回の件に係わるであろう連中について知る所から始めるべきであろう。

当然、誰かからの情報ではなく、私自身が直接知る必要がある。

まぁ、やりようは幾らでもある。

最終手段として、街の出口も国境も強行突破してしまえば言い訳だし、、、


なんか、つい最近も同じ事を考えた気がする。

どうにも今の時代に生まれてから好戦的というか、力で解決しようと考える事が多くなったきがするなぁ。

当然だけど、別に好き好んでそう考えている訳ではない。

だけども、この身に宿すあれやこれやはどうしても世界に対して大きな影響を齎してしまう。

ならかつてのように再封印すればいいかとも考えたのだけど、実はそれについて色々自分を調べたら意外な事が判明してしまったのだ。

というのも、私の聖痕と魂の結びつきが深くなっているみたいなのだ。

恐らく、幼い時に無理矢理封印を施した事が原因で外に出て行くはずだった力が内に堪り、最終的に魂へと溶け込んでしまったのだろう。

そうしてこの前、封印を解いた時にそれが形となって固定されてしまったようだ。

文字通り、私の聖痕は私の魂そのものとも言える状態であり、それを封印するという事は即ち、魂を封印する事になってしまう。


 ・・・もはや語るまでも無いけれど、即ち死を迎える事となってしまう・・・


結果として、聖痕を隠す術が無い状況に自らを追いやる結果となっていたのだ。

だから、これから先私はそれを含めた上で上手く立ち回らなければいけないのだ。

で、少し話が逸れたけど。

結局何が言いたいかというと、以前の様に囲い込まれて自由を奪われるのは一番困る。

かと言って力づくで解決しては魔王の再来である。

結論、私は可能な限り力を使わず、深く関わらないようにしつつ当事者達に事を解決してもらう。

その過程で必要があるなら私自ら行動する。

今で言うなら、まずは彼らに関するあらゆる情報、これを私が自分で入手する事だ。

誰が見方で誰が敵か。

そして何が起きているのか、起きようとしているのか。

それを知る為に、早速私は行動を起こさないといけない。

差し当たって優先すべきはダゲッド、そしてアドネアの2人だ。

オーフェとリーフェには悪いけど、ただ流されるのは性に合わないからね。

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