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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第二章 アンスリンテス魔道国珍道中
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44 巻き込み事故にご注意

オーフェに連れられた私が辿り着いたのはまさかの場所だった。

「さぁさぁようこそ!私の職場へごあんなーい!」

「いやアンタ、ここって魔導開発局第一じゃない。部外者立ち入り禁止でしょう」

「いえいえいえ、私と貴女はもうオトモダチですから!ならばもう関係者ですよこれは!」

斜め上の理論を展開して強引に押し切ろうとする姿勢は評価できる、訳が無い。

「私が何処かの諜報員とかだったらどうするのよ。この国の優位性が失われるわよ?」

半目でオーフェを見やりながら割と真面目に切り返す。

だけどそれを受けてなおオーフェは笑顔を崩さずに口を開く。

「だいじょぶですよぅ、私はそういうの見抜けるのです。聖痕の恩恵みたいですが、これがなかなか原理が分からなくてですね~」

目を爛々と輝かせながら何やら物騒な言葉を呟いていたけど、今は気にしないでおこう。

それよりも、今は目の前の事だ。

オーフェは私の腕を絡め取ってズンズンと進んで、目の前の建物の中へと進んでいく。


魔導開発局第一と呼ばれるその建物の中に足を踏み入れた私は、その光景に目を奪われた。

1階の玄関ロビーは中央に受付があり、他はソファーや資料の置かれた棚が幾つかあるだけなのだけど。

「すごい、、、」

思わず呟きながら周りを見渡してしまう。

部屋を照らす魔導具、時間を示す魔導具、他にも細かな家具や内装など、細部に至るまで魔導具が置かれて利用されている。

以前、魔導具は魔法を補助するための物がほとんどで、日常生活に用いるような魔導具は極少数しかないと話したけれど、ここにはその極少数が幾つも使われていた。

こういった魔導具が普及しない理由としては幾つか挙げられるけど、大きな物としてはやはり魔法の存在がある。

要は、全て魔法で賄ってしまうのだ。

灯りにしても、光を蓄える特殊な鉱石に魔力を通してしまえばそれだけで十分だし、魔力を多く持つ貴族にとっては幾つも鉱石を配置しておく事で力を示す指標となるのだ。

勿論、貴族以外でも魔力を持つ者は居るし、或いは魔力があらかじめ込められた鉱石が売られてもいるから、結局それで事足りてしまうのだ。

極めつけは、やはり値段だ。

今話した魔力の込められた鉱石は、大きさや質にもよるけど、それでもそれなりに安価で買える物が多い。

その理由としては、基本的には使い捨てになるからだ。

勿論、魔力を込め直せばまた灯りとして機能するようになるけど、それは鉱石として純度の高い物に限られるし相応に値が張る。

つまりは、安ければ安い程鉱石としての純度は低く、再利用出来る回数が少ない。

対する魔導具はそれらの問題を克服する為に開発された経緯があり、現時点では半永久的に使う事が出来るという。

半が付くには当然理由があり、魔導具の素材の一つにまさに同じ鉱石が使われていて、それを他の素材と組み合わせる事で寿命を引き延ばしているそうで、そこにまだ改善の余地があると言われている。

併せて、やはり魔力の補充が必要である点も挙げられている。

鉱石を直接使うよりも頻度も、必要な魔力の量も少ないけれどそれでも必要となる時点で幾らか敬遠されてしまうらしく、そこに加えてトドメとなる問題がある。

「こうして利便性を視覚に訴えてるんですけど、如何せんお値段がねぇ。我々の努力不足と言われてしまえばそれまでなんですけどもぉ」

そう、利便性や効率性を追い求めた結果、それはそれは良いお値段になってしまっているのだ。

私も見掛けた事があるけど、最高級鉱石のさらに倍以上の値段がしているのだ。

つまりは、庶民どころか半端な貴族ですらも手を出し難い価格となってしまっているのが現状だったりする。

「あれは簡単に手は出せない値段だからね。改善策はないの?」

「いやぁ、一応案が無いワケではないんですけどねぇ」

私の疑問に何やら含みのある答えを返すオーフェに、本能的に嫌な予感が走る。

その直後に、それが正しかったと思い知る。

「実は貴女を御招待した理由がそこなんですよ!」

掴んだ腕をグイっと引きながらどんどん奥へと進んでいく。

いや、受付のお姉さんが滅茶苦茶戸惑ってますけど?

その受付の人になんか満面の笑みを送りながらも特に歩を緩めたりもしないオーフェに引き摺られながら私はコイツの狙いを考える。

というか、考えるまでも無かった。もうね、私と彼女の共通点なんてアレしかない。

「まさか、聖痕を使ってなんかするつもり?」

小声ではあるけど、それなりに凄みを効かせる。

「そのとーりでございます!自分でも色々試したんですけど、聖痕の特性的にイマイチでして。そこで同じく聖痕持ちの貴方にご協力願いたいのですよ!」

「はぁ、そんな事だろうと思ったけど。で?まさかタダで協力させようっての?」

「モチロンお礼はたんまりと出しますとも!これが上手くいけば利益は莫大間違いなしですよぅ!」

お礼に釣られた訳ではないけど仕方ない。

個人的にも魔導具制作に係われるのは楽しそうでもあるし、開き直って精々色々と見させてもらうとしよう。

オーフェの狙いとは一体・・・(意味深

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