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〈第二部開幕〉転生聖女の逃亡放浪記  作者: 宮本高嶺
転生聖女の逃亡放浪記・第二部

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389 聖女を追って

フェオ―ル王国第一王女 ミーリス・フェオール

プリエール様の真実は余りにも衝撃的ではありました。

ですが、きっとそれを打ち明けられたプリエール様も相応の覚悟をされていた事でしょう。

ですから、私もまたレオニル同様、この御方を信じようと決めました。


改めて椅子に座り、プリエール様が口を開いたのですが・・・

「まず、申し訳ありません。先程ああ言っておいてなのですが、実は少し前まで感知出来ていたリターニアの気配が途絶えたのです」

相変わらずプリエール様は表情が変わらないので、一瞬だけ理解が及びませんでした。

「・・・あの、今何と?」

「私とリターニアの繋がりが断たれました。恐らく、邪神の手の者による干渉かと思われます」

「ちょっ、待ってくれ!それじゃあ、今は・・・」

レオニルの言葉にプリエール様が頷き、視線を彼方へと向けます。

「最後に確認出来たのは幸いにもフェオ―ル国内、北方の地で御座います。そこを調べれば何か掴める可能性があります故、一刻も早くお伝えしなければとこんな時間にお呼び立てした次第です」


北部・・・残念ながら、今その周辺地域は治安が悪化しつつあります。

その原因は、北の海にある邪神の領域・・・そうです、かつて女神の聖域と呼ばれた地はそこにあるのです。

私達が住む南方大陸、そして西方大陸、北方大陸、この三つの大陸の中央にあるそこは、生きとし生ける者を拒む地であり、しかしそこへの足掛かり自体は既に確保されております。

各大陸と領域を繋ぐ三つの巨大な橋、これが人々と邪神との闘いの最前線となっています。

しかし、それ故に魔者や魔獣の数も多く、また邪神の領域周辺は穢れが濃い事もあって悪事を働く人も多く集まる地となってしまっているのです。

特に有名なのが、西方大陸北東に位置するバルイング皇国が有する要塞島でしょう。

かつてそこは、邪神との闘いの最前線の一つであり、最も激しい戦闘が繰り広げられた地として有名です・・・そして、それによって集まった穢れにより、今では世界中の犯罪者達が集う無法の地としても。

元々、高い壁と一つしかない出入り口によって海路からの侵入が難しく、その壁に設置された対空砲と結界によって空からの侵入もまた不可能という堅牢さを誇っていたのですが、内部で反乱が起きてしまい島は乗っ取られ、以来そこはどの国も手出しが出来ない場所になってしまったのです。

そして、そこを根城にしている者達は近隣を通る船を襲い、時には北方や南方にまで現れて襲撃をしているのです。

我が国に於いては、最北端の町が既に一つ放棄され、そこを足掛かりにそいつらが国内に侵入している状況です。


リターニア様がそいつらに捕まった可能性もありますが、それではプリエール様が気配を追えなくなった事の説明が付きません。

「なら、まずはそこを調べよう」

「ええ、それも出来る限り早くにですが・・・」

レオニルの意見には私も賛成です。

しかし、その為にはまず、

「レオニル、もうやる事は終わったのですか?」

「あ・・・」

やはりですか。

レオニルは次期国王、その為に色々な事を学ばないといけないのですが、今回の様に長期間城から離れてしまうと、その間にやらないとならない事が溜まってしまうのです。

なので、こうして戻ってきた時に進んでいない勉強を一気に詰め込まれる事になる・・・彼がこんな時間まで出歩いてたのはそれが理由なのです。

勿論、既に返上したとはいえ私も王族、レオニルの補佐として今後も城に残るのでその為の勉強をしていますが、その量は比にもなりません。

なので、

「今回は私とプリエール様で動きましょう。レオニルはレオニルのやるべき事をして下さい」

「いや待て!確かにお前の言う通りだが、もしも何か危険があれば!」

「私とて聖痕を持つ者、多少の荒事程度問題になりません」

レオニルの心配は素直に嬉しいですが、だからと彼に頼り切りという訳にいきません。

それに、フェオールも広大な土地を有する国、それを統治するには国政だけでなく、市政にも目を向け、更には領地にも気を配らねばなりません。

特に今回は我が国が抱える問題の一つと交わる可能性があり、そこに次期国王が向かうとなると他の地の領主達が口を挟んでくる事も有り得ます。

余計な波風を立てない為にも、ここは私が動く方が得策なのです。

そして、その事を理解出来ないレオニルでは無い・・・確かに、頭に血が昇ると少々危ういですが。

「ったく、お前もお前で一度言い出すと聞かねぇからな。分かった、今回は任せる。だが何かあれば聖痕を使えよ?そうすれば俺も共鳴で感知出来るからな」

「分かってます。今回はプリエール様も居ますし、無理はしませんよ」

「はい。ミーリス様は私が護りますのでご安心を」

私の言葉に頷いたプリエール様、その顔が初めて少し変化しました。

ほんの僅かではありますが、その口元に笑みが浮かんだのです。

思わずレオニルと顔を見合わせ、私達も笑みを浮かべてしまいました。

果たしてどうなるかは分かりませんが、何だか少しだけ気持ちが楽になった気がしました。

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