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〈第二部開幕〉転生聖女の逃亡放浪記  作者: 宮本高嶺
転生聖女の逃亡放浪記・第二部

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385/413

385 神の言葉に誘われ

フェオール王国第一王女 ミーリス・フェオール

窓の外を流れる景色をぼんやりと眺めながら、昨日の失態を反省します。


聖痕の聖女、リターニア様は何処かへと去ってしまわれた・・・それを、私達が招いてしまったのです。

その原因はハッキリとしています・・・私達は、あの御方のお気持ちを微塵も考えていなかったのです。

こちらの事情を一歩的に押し付け、その結果彼女はお怒りになった・・・当然の事でしょう。


それから皆さまと話し合った結果、私達はマンベルへと向かう事にしました。

私達に情報を下さったミデン様にご報告をすると共に、お詫びをしなければなりませんし、今後の事も考えなければなりません。

色々と考えなければなりませんが、今はとにかく体も心も休めたいのが本音です。

通路を挟んだ席に座るレオニルも、乗り込むなり早々に眠ってしまいました・・・まぁ、彼のお陰で助かった面もありますし、ゆっくりと休ませてあげましょう。


それから数日後、飛空機関船は何事も無くマンベルへと到着しました。

マンベル宗主同盟、便宜上国の一つに数えられてはいますが、実際には国では無く、巨大な組織と言ったほうが正確でしょう。

フェオールがある南方大陸の東に位置する小大陸、その半分を治め、更には巫女様にのみ降る神々の言葉、神託によって世界に対しても大きな影響を与える事が出来る・・・のですが。


300年前の邪神復活を契機に、その力にも翳りが見え始めたのです。

巫女様に降る神託もその頻度が減りつつあり、加えて邪教神団による工作も相俟ってその求心力は少しづつですが確実に失われつつあるのです。

今回、その貴重な御言葉によって齎されたチャンスを、私達は活かす事が出来なかったのです。

気は重いですが、いつまでもクヨクヨしてもいられません。

とにもかくにも、次に私達がするべき事を定めなければいけないのですから。


着陸した飛空機関船から降りた私達は、レネス様先導の下、ミデン様の住まう館へと向かいました。

着いて早々、侍女の方に案内されて館の中へと進んでいきます。

私もですが、隣のレオニルはもう緊張でカチコチになっていて、ミデン様とお会いしたら一体どうなってしまうのでしょうか。


マンベルの謁見の間は他の国とは違い、私達とミデン様の間には薄い布が何十も垂れ下がり、そのお姿を直接目にする事はありません。

以前、謁見させて頂いた時も直接お目に掛かる事は無かったのですが・・・

「ミデン様?」

今日はその布が取り払われており、更にはいつも奥に控えておられるミデン様が雛壇の下へと降りて待っておられたのです。

「お待ちしておりました」

マンベルの巫女様だけが纏う事を許されている装束に身を包んだミデン様が私達を出向かえて下さいます。

「ミデン様、いけません!」

レネス様が慌ててミデン様を奥に連れ戻そうとしますが、それを視線だけで制すると、何とそのまま頭を下げられたのです。

「皆様にご迷惑をお掛けする結果となりました。全ては私が至らぬが故、申し訳ありません」

「何を仰られるのです、失敗を犯したのは私達です!」

突然の事に私が慌ててそれを否定しますが、ミデン様は頭を下げたまま話し続けます。

「いいえ、全ては私が招いた事。聖痕の聖女に関する神託が下った時に、もっと慎重になるべきだったのです」

そこでようやく顔を上げたミデン様、その瞳には何かしらの決意を感じさせる光が宿っていました。


場所を変え、用意されていた円卓を囲んだのはミデン様、私とレオニル、レネス様に救世同盟の代表者がお二方。

あの島での出来事を一通り説明し終え、それを受けたミデン様が暫し瞑目された後口を開かれました。

「成程。私に降った神託とは、途中で別たれた流れの様に思えます」

「別たれた、ですか?」

レオニルの問いに、ミデン様は今一度瞑目した後に視線を救世同盟の方々へと向けました。

「バーク様、最初に声を荒げ聖女様の怒りを買った者を覚えておられますか?」

「はぁ、勿論ですが・・・」

「では、彼の名は?」

「名前?・・・いや、参加者の名と顔は確かに確認したはずだが・・・」

ミデン様からの問い掛けに答える最中、彼は顎に手を当てて考え込んでしまいました。

そして、その目が僅かに見開かれ、

「・・・おい、リストをすぐに持ってこい」

背後に控えていた部下にそう指示を出しました。

「ミデン様、考えたくはありませんが、もしや・・・」

「ええ、残念ながらその者は邪教神団の者でしょう。聖痕の聖女を亡き者にしようと企み、潜入していたと見るべきかと」

「お待ちください!では、リターニア様が突然あのような暴挙に及んだのはっ」

私の考えを、ミデン様は首を縦に振って肯定されました。

「自らに害意ある者、それを見抜いておられたのでしょう。しかし、果たしてあの御方から見て他の者がその者と関わりが無い、と判じる事が出来ましょうか」

何という事でしょう、私達は愚かにも邪教神団の策に嵌められてしまっていたのです。

そして当然、それを感じ取ったリターニア様がその場に居た私達を信用しなかった・・・ましてや、こちらの都合を押し付けるだけの私達を受け入れてくださるなど、ある筈がない。

「そうなる可能性を見落としたのは、ミデンたる私の失態。今となっては聖女様を探し出すのは至難を極めましょう・・・故に」

再び頭を下げたミデン様が頭を上げると、背後から一つの影が現れ、ミデン様の背後に控えました。

「この者を付けます。きっと、聖女様を見つけ出すのに役立つでしょう」

その言葉と共に背後の方がフードを取り、素顔をお見せになって口を開かれました。




「・・・プリエールと申します。よろしくお願いいたします」

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