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〈第二部開幕〉転生聖女の逃亡放浪記  作者: 宮本高嶺
転生聖女の逃亡放浪記・第二部

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379/420

379 忘れ去られた地

フェオール王国第一王女 ミーリス・フェオール

長い旅の目的地、聖女が居るとされる場所。

それは世界の果ての小さな島でした。

一体いつからここは存在していたのか、どうして今になって巫女様に神託が降ったのか、誰にも分かりません。

けれど、1つだけ私は確信をしました・・・ここに、間違いなく聖女は居る。

そして、人が立ち入る事を拒むかの如きその地に、私達は遂に降り立ったのです。


飛空機関船から降ろされた転移アンカーを使って私とレオニル、そしてマンベルからの同行者達や救世同盟の人達が続々と降りてきます。

「なんだか、不思議な空気ね」

辺りを見回しながら島の様子を観察してみるけど、私達以外の生き物の気配は一切しません。

ただ生い茂る木々や草花だけが風に揺られ、私達を迎えていました。


他の人達が拠点設営を始める中、私とレオニルは最初に建てられたテントの中に呼ばれ、そちらへ向かう。

中に入ると既に簡易テーブルが置かれ、それを囲むように2人の人が立っていました。

「レオニル様、ミーリス様、そのご様子ですと何かを感じておられるのですね?」

その内の1人、被っていたフードを下ろしながら口を開いた女性、マンベルの教導者レネス様が僅かに目を細めながらそう聞いてきました。

「ああ。何とも言いようがないから説明が出来ないが・・・」

「強いて言うなら、呼ばれている・・・でしょうか」

私とレオニルの言葉にレネス様が目を閉じて何かを思案し始めます。

その間にもう1人の方である男性、救世同盟側の代表者の人が小さな魔導具をテーブルの真ん中に置き、

「恐らく島の中心からでしょう。小さな島ですから、既に走査は終わっています。しかしながら」

魔導具から浮かび上がった立体地図、その中心を指差しながら彼が続きを話します。

「ここだけがあらゆる物理的、魔力的干渉を拒みました。明らかに何かがある・・・それが何か、きっとお2人にはお分かりかと」

示された地図を見つめながら、私は頷く。

「間違いありません。そここそが私達の目指す場所、聖痕の聖女が居る場所でしょう」

何故かは分からない、けれど空から見た時に抱いた確信めいた予感は今も続いています。

そして、それを肯定するようにレネス様が目を開き、静かに語り始めました。

「貴方方は聖痕をお持ちです。そして聖女はその名の通り、数多の聖痕を宿した伝説の存在、神にも等しい力を持つ。であれば、呼ばれているのです・・・聖痕の聖女、リターニア・グレイスに」


リターニア・グレイス。

その名は私もレオニルも知っている・・・いえ、フェオールの民ならば誰もが知っている事です。

300年前、新生フェオール王国を繁栄させた偉大なる王、レオーネ様と王妃であるミレイユ様、お二人が残された言葉にその名は登場しているのです。

お二人とも聖女によって救われ、そして今に続いているのだと。

特に、ミレイユ様はある一通の手紙と共にその想いを後世に残されました。

だから、ではありませんが私もレオニルも聖女の捜索という果ての無い使命を受け継ぎました。

ミデン様が私達に神託を綴った手紙を送ってきたのは、それ故なのでしょうか。

それは私達の知る由も無い事ですが、しかしミレイユ様の悲願を果たせるこの好機、逃す事など出来ません。


まだ日は高く、島の様子も既に把握出来ている事もあって私達はすぐに拠点を発つ事にしました。

先頭に救世同盟の方々が立ち、私とレオニル、そして後ろにマンベルの皆様が続きます。

生い茂る草を刈り払いながら進み、程無く。

「おい、何かあるぞ!」

先頭から声が上がり、レオニルと顔を見合わせた私は駆け出していきます。


辿り着いたのは、小さな遺跡のような場所でした。

石で造られたそれは、小屋よりも小さくてとても人が住んでいるとは思えません。

「・・・本当にここに聖痕の聖女が居るのか?」

横にいるレオニルが怪訝な表情を浮かべながら足を踏み出し・・・

「いけません!」

背後から鋭い声が響き、驚いたレオニルが慌てて足を引っ込めます。

「な、なんだぁ!?」

「失礼致しました。しかし、そこに不用意に近付いてはなりません・・・時が止まります」

私達を追ってきたレネス様がそう言いながら、拾い上げた小石を石室に向けて放り投げる・・・すると。

「なっ!?」

「石が、宙で止まった?」

その小石は突然動きを止め、宙に浮いたままになったのです。

「レネス様、これは一体・・・」

その小石に視線を奪われたまま、レネスさんに問い掛けると、彼女はゆっくりと私達の前へと歩み出て、こちらへと振り返りました。

「私もこの目で見るまでは伝説上の物と思っておりました。ここは『聖痕遺跡』、かつて神々が降り立ち、人と共に邪神と戦った始まりの地。あそこに見える石室こそ、後に邪神の封印の要となった聖なる場所。それ故に世とは隔絶された時を揺蕩う、忘れ去られた地なのです」

神が降臨した地・・・だから、聖女様はこの地に身を隠したのでしょうか。

その答えは目の前にあるのですが・・・


   「・・・」


ふと、誰かの声が聞こえた気がしました。


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