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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第八章 マンベル・秘されし者達の蒐集録
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336 幻獣再び

体に圧し掛かっていた重圧が少し和らぐ。

どうやら結界の起点は物ではなく人だったらしい。

こうしていつも思うのだけど、やはり終わりというのは呆気無い。

特に今回のオイトの敗因は、不幸の一言でしかないのだ。

もしも相手が私一人なら、或いは彼女の勝利も有り得たかもしれないだろう、、、けれど、現実はそうはいかなった。

彼女にとって一番相性の悪い敵が居た、正確には彼女自身が産み出してしまったのだから。

まぁ、その当人は母を殺した直後だと言うのに、間抜けた笑みを浮かべてご褒美を待って私を見ているのだけど。

「ま、悪くは無い結果かしらね」

仕方なく頭を撫でてやると嬉しそうに喉を鳴らす始末、、、ていうか、何だか動物染みて来た気がするのだけど、まぁいいか。

それよりも、これで次にやるべき事も把握出来た。

結界の起点は人、それもオイト同様相当な実力者であろう事。

東を潰したから残すは北と西、南だけど、

「っと。また体が軽くなったわね」

「スコーネ様が結節点を壊しましたかね、コレ」

フェアレーターの言う通り、アレも仕事を果たしているようだ。

この手の結界に於いて、結節点は効果を高める為に必ず意味のある配置にされる。

故に重点的に秘匿しておくのだけど、スコーネの前には無駄だったようだし、何よりも一つを見つけ出したとなれば、残りも魔力の繋がりを辿ればすぐに見つかる事が出来る。

向こうの方が早く終わるのは面白く無いけど、こちらは子供のお守りをしつつ厄介な基点を潰さないといけないのだ、アイツの仕事が早く済めばその分動き易くなると考えよう。


飛空機関船から眺めた島の形を思い起こし、今居る位置からなら南が近いと判断、そちらへと足を向ける。

結界が弱まったお陰で足取りも軽く、更に身体強化を掛けて円周状の町を駆け抜けていく。

後に続くフェアレーターも大分私の魔力が馴染んだようで、かなり調子が良さそうだ。

これなら、この後にどんな奴が待ち構えていようと大した障害にはならないだろうと考えていたその時だった。

「、、、嫌な感じね」

足を止め、辺りを見回してみるけど私達以外に人の気配は無い、、、そう、人の気配は。

「出てきなさい」

何処へとも無く声を掛け、返事を待つけど、まぁ当然返っては来ない、、、代わりに。

そう離れていない場所に、浮かび上がるように一つの影が現れる。

「アイツ、確か、、、」

フェアレーターが敵意を剥き出しにしながらソイツを睨み、飛び出そうとする体を自身で抑えている。

その様子を見た奴が気怠そうに頭を掻きながら口を開く。

「ったく、もう手遅れじゃねぇか。ま、それでも巫女さんに助けを求められちまった以上、やる事ぁやらねぇといけねぇわな」

「トゥテラリィ、だったかしら」

「おう。気安く呼ぶなって言いてぇが、テメェは特別だ。メルダエグニティスに全てを弄ばれた存在、、、マジで反吐が出る」

奴の目が鋭く細められ、その体から魔力が膨れ上がっていく。

隣のフェアレーターが無意識に後退り、私も私で今の状態で奴と真っ向からやり合うのは面倒だなぁと考えて離脱を考えていたのだけど。

「その臭い魔力を消さぬか、駄犬め」

空から声と共に陰が降ってくる。

やはり同じ存在だからか、絶好の機会にコイツは現れてくれる。

「スコーネ、アレの相手をしなさい。その間に私は基点を」

「言われるまでも無い。久方ぶりに全力を出せる相手じゃ、心行くまで楽しませよ!」

「テメェ、、、また俺を犬呼ばわりしやがったな。今度こそあの時のケリ、付けてやらぁ!」

スコーネとトゥテラリィ、二人の姿が同時に消え、直後に何処か離れた場所から爆発のような音が島全体を揺らす。

どうやら、何処かしらの海の上辺りで戦っているらしい。

面白そうではあるけど、残念ながらやるべき事がある以上見学には行けない。

気を取り直し、フェアレーターを伴い次なる基点を目指して走り出すのだった。


幻獣同士の闘いは私の想像を遥かに超える物だ。

動き出した私達を捉えたのか、トゥテラリィが猛烈な勢いでこちらに飛んできたかと思うと、それをも上回る速さで飛び込んで来たスコーネがトゥテラリィを殴り飛ばし。

そんな攻防が頭上で繰り広げられ、その余波で島の至る所が消し飛んでいく。

その中には、不運にも結界の結節点もあったようで、途中で何度か体が軽くなる瞬間もあった。

それでもまだ結界の効力は強いから、果たしてどれだけの結節点を構築したのか、、、無駄な努力が好きな連中だ。

いや、そんな悠長な事を考えている場合じゃない、アレに巻き込まれたら私もただでは済まないのだ。

「急ぐわよ」

後に続くフェアレーターに声を掛け、更に加速して町を駆ける、、、その先に。


どうやら、この町は東西南北に広場が設けられているらしい。

東側と全く同じ造りの広場に辿り着いた私達を待ち構えていたのは、五人の教導者。

中心に立つ女と、そいつを護るように囲む四人の男達。

なら、潰すべきは女一人だろうと聖痕を浮かび上がらせたその時、、、


女を囲む四人が同時に動き、その女を魔法で切り刻んだ。

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