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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第六章 ヤーラーン帝国淫蕩録
221/362

221 混沌の主

全身の疼きで目が覚める。

いつの間にかベッドに寝かされていた様だけど、布団の中の私の姿は相変わらずだ。

ただ、自分で体を撫で回して分かったのだけど、あれだけ体中に刻まれた鞭の痕が綺麗に無くなっていた。

鞭打ちの後に塗られた媚薬入りの薬、あれに何かしらの魔法効果が含まれていたのだろうけど、一晩でこうも効果が出るとなると、媚薬以外にも怪しい何かが含まれている気がする。

少なくとも、今は何も変化は感じられないけれど、気を付けておくに越した事はない。

そのまま暫く自身の状態を把握し、ゆっくりとベッドから立ち上がる。

視界が塞がれているから、自分が何処に居るのかは分からないけれど、少なくとも今は一人きりのようだ。

情けない姿ではあるけど、手を突き出して周囲を探りながらゆっくりと歩き、辺りを調べる。


覚束無い足取りで部屋を彷徨ってみたけど、結局得るものは無かった。

何とかベッドに戻り、縁に腰掛けて、今度は身に付けている魔導具を調べる。

これまではそんな時間も余裕も無かったから、今のうちにどんな物かは把握しておきたい。

まずは足の魔導具に触れてみると、簡単に外せそうではあるけど、幾ら力を込めても肌に吸い付いている様に微動だにしない。

腰や胸、頭も同じだし、目元を覆う魔導具でさえも同じだ。

恐らく、あのラウの性格からして、ヤツの魔力でも流さない限り外れないようになっているのだろう。

なら、敢えて従順になったフリをして外させる様に仕向けるか、、、いや、それは恐らく無理だろう。

ラウもそうだけど、それ以上に私がどうなるか分からない。

ここ数日の間に、私の体は相当マズイ状態になりつつある。

ラウの巧みな指使いだけでなく、媚薬まで用いられ、その上で何度も気絶するまで責められているせいで、もう既に私の体は簡単に果ててしまう様にされている。

それに加え、昨日の様な拷問まで繰り返されたら、恐らく先に心が壊れるだろう。

体の方は、或いは慣れてしまえば耐えられる様になるかもしれないけど、それでも限度はある。

、、、いや、もう既に限界に達しているかもしれない。

鞭に打たれるなんて事を思い返せば、普通は恐怖が勝るはず。

なのに、それを思い返した私の体は寧ろ発情している、、、足を伝う雫が如実にそれを物語っていた。


何とか気を落ち着かせ、これからの事を考える。

ラウの最終的な目的は、私を完全に屈服させる事だろう。

そして、ヤツの傀儡と化した私、その身に宿る聖痕を自らのものとして操る。

ただ、それで何を成そうとしているのかまでは分からない。

かつて志した祖国の改革なのか、或いは己の欲望を満たす為なのか、、、どちらにしても、私の末路は同じだけど。

「おや、起きてましたか。おはようございます、愛しのリターニア」

気配を殺して近付いてきていたラウが、私の手を取りながら声を掛けてくる。

流石に少し驚いたけど、それを表には出さない様に取り繕う。

「、、、何か用?」

「フフ。ええ、父が貴女との面会を希望しまして。参りましょう」

分かってはいたけど、返事などする間も無く立ち上がらされ、首輪に鎖が繋がれる。

ただ、これはある意味好機でもある。

この国の主、ヤーラーン帝国皇帝と言葉を交わせるなんて、恐らくこの時以外に機会は得られないだろう。

多少の危険は承知で、出来る限り情報を聞き出す。

その為にも、今は大人しくラウに従う。

屈辱塗れではあるけど、このお返しは必ずする。


静寂に満ちた帝城を、鎖に引かれながら歩く。

今がどの時間なのかは分からないけれど、人の声も、足音も、何なら気配すらも感じないのはあまりにも不気味だ。

絨毯の敷かれた廊下は、素足の私の足音も、ラウの靴の音も響かせないから、尚更だ。

「さ、着きましたよ」

扉の開く音が微かに聞こえ、ラウと共に中へと進んでいく。

「連れて参りました、父上」

僅かに緊張感を馴染ませるラウの声が聞こえ、暫し沈黙が続く。

何だか落ち着かない感じがするから、恐らくは観察されているのだろうけど、今はまたローブを着ている。

顔こそ出しているけど、あの恥ずかしい姿は見られていない、、、はずなのだけど。

「面白い。既に躾けたのか」

低く唸る声に、体が本能的に身構えそうになる。

いや、これは、、、疼いている?

「はい。流石は聖痕の聖女、これまでのどんな女よりも強く、気高く、そして美しいですよ」

自慢げに語るラウの声も、何処か遠くに感じる。

足が僅かに震え、私の意思に反して太腿を擦り合わせてしまう。

「確かに。魔導具越しですら上等と思わせたのだ、実物はさぞ良かろうな」

まただ、、、この男の声に、手が勝手に動きそうになる。

今この場でローブを脱ぎ去り、全てを曝け出したくなる衝動に駆られる。

それを必死に抑え付け、ジッと耐える。

「ほう、我の言葉に耐えるか。これを手懐けるのは骨が折れるぞ」

「ええ、だからこそ、我が妻に相応しい。故に、父上」

立ち上がり、歩み出す音がする。

それは私の目の前に立ち、そして。

「良かろう。ヤーラーン帝国皇帝、ヘル・ゼス・オ・ヤーラーンの名に於いて、この者をお前の妻とする事を赦そう」

その言葉が放たれた瞬間、、、前触れもなく、私は絶頂を迎え、気を失った。

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