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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第五章 エオロー連合国漫遊記
211/362

211 消えたリアメノ

私も加わり、ヴァネスとキネレイ、フェイネル、使用人達までも総出で館や町まで手を広げてみたけど、リアメノは居なかった。

そこからすぐに情報収集に切り替えた結果、幾つか証言が得られた。

館に戻り、使用人達も含めて館の大ホールに集まる。

それぞれが得た情報を纏めていくと、奇妙というか、その場の全員が首を傾げてしまう事が判明した。

「つまりあれか?リアメノの奴、自分で出て行ったってぇのか?」

「そうなるわね、、、でもどうして?」

ヴァネスの纏めに、フェイネルが首を傾げる。

だけど、その疑問も最もだ。

何せ、リアメノは食堂から出た後、真っすぐ館から出て行っているのだ。

そしてそのまま町で馬車に乗り、南へと向かったという。

勿論だけど、理由も目的も分からない。

そして、使用人の一人が得た情報でより謎が深まったのだ。

「確認するけど、寄り合い馬車の管理者が言ってたのね?」

「はい。リアメノ様が普段とはまるで違う言動で馬車を出す様に詰め寄ってきた、と」

そう、あのリアメノがまるで貴族の様な振る舞いで、馬車を定刻以外で無理矢理走らせるよう詰め寄ってきたのだという。

しかも行く先は告げず、とにかく南側に行けと、まるで私達の追跡を想定して妨害するかのように。

「私が知るリアメノからはまるで想像がつかないんだけど、どうなの?」

私の疑問に、ヴァネス達も首を横に振る。

念の為に使用人達にも確認してみるけど、彼女付きの者達さえ困惑の表情を浮かべている。

話だけを聞いてると、まるで別人にでもなってしまったかのようだけど、最後に見た横顔は確かにいつものあの子からは掛け離れている様にも思えた。

今はまだ何も分からない状況だけど、もしもこれまで感じてた感覚が正しかったとしたら、、、


一通り情報を纏め終え、私が先んじてリアメノの後を追う事になった。

ヴァネスはドランドの件で飛び出してきたから、一度中央島に戻って指示を出してからまた戻ってくるそうだ。

フェイネルはまだ誘拐事件の直後という事もあり、このまま情報収集に当たってもらう。

キネレイはフェイネルの手伝いをしたそうではあったけど、南側は彼の島だし、案内人として同行してもらう事にした。

今は時間が惜しいから、それぞれの役割が分かった段階で各々動き出している。

私とキネレイが用意した馬車に飛び乗り、彼と共に館を出た。

「まずは町に行く。俺の島は東と西に町があるんだが、東は港があって人が多くいる。アイツが隠れて何かやるとするなら、恐らくはそっちにいるはずだ」

キネレイが島の地図を広げながら説明する。

島の大きさは北島、つまりフェイネルの居る島と大差無い。

ただ、南島は南部に大きな海岸があり、そのお陰で全体的に開拓が進み、島民は島の各地に住んでいるそうだ。

その中で、港がある東側と対になる様に西側に比較的大きな集落が出来て、今では町として機能しているという。

避暑地として宿が多く立ち並ぶそうで、活気に溢れる東とは対照的に、静かな雰囲気が人気らしい。

こんな状況でなければ堪能したい所だけど、

「観光はお預けね。とにかく、リアメノを見つけましょう。あの子が何を隠しているのか、それを問い質さないと」

一通り説明を聞き終わり、ほんの少しだけ後ろ髪を引かれつつも思考を切り替える。


町に着き、馬車を降りてキネレイと共に聞き込みを始める。

彼も彼で意外な事に島民からの信頼は厚い様で、すぐに幾つかの有力な情報が聞けた。

やはりリアメノはここに来たらしい。

ただ、到着して早々に馬車を乗り換え、西の町に向かったそうだ。

ここでも乗り合い馬車の管理人に詰め寄っていたそうで、ここでもやはり無理矢理馬車を出させたらしい。

「急げば追いつける。馬車を用意させよう!」

キネレイが管理人と話を付けている間、私は少しだけ町を見に行く。

リアメノの足取りが掴めたのは幸先が良いけど、何故わざわざここで馬車を乗り換えたのか、そこが気になる。

町で何もせずに西へと向かうのなら、乗り換えずにそのまま行けば良かったはず。

ましてや、彼女が乗っていた馬車は乗り合いではなく、無理矢理出させた物だ。

今更そこを気にするとは思えないし、それが引っ掛かる。

「おい、大変だ!」

そこに、キネレイが慌てた様子で駆けてくる。

「どうしたの?」

「厄介な事になった。ヤーラーンのお偉いさんが来てるとかで、街道が封鎖されたらしい。俺は何も聞いてないってのに!」

島主に連絡が来ていない?

そんな事があり得るだろうか、、、いや。

「封鎖はいつから?」

「俺がフェイネルを探しに出たすぐ後らしい。明らかに留守を狙ってやがる!」

「、、、なら、どうしてリアメノは出発したの?」

「あっ、、、まさか」

一番最悪な想像が現実になりつつある。

恐らく、乗り合い馬車は本当なら出れなかったはず。

だけど、リアメノがもしもそのお偉いさんとやらと繋がっていたとしたら、、、

ソイツがここに来ている事を知っていて、そこに向かったのだとしたら、、、

封鎖を抜ける術を持っているとしたら、、、

ここで一度馬車を降りたのは、その手配をしていたとしたら合点が行く。

それを確かめる為にも、私達もその封鎖を突破しないといけない。

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