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転生聖女の逃亡放浪記〈総合評価520&110000PV感謝!〉  作者: 宮本高嶺
第五章 エオロー連合国漫遊記
199/362

199 兆し

次の日も、まずは改めて昨日見た場所を中心に、その周辺まで範囲を広げて探索をしてみた。

結果として、数カ所で同じ様に魔力の痕跡を見つける事が出来たし、私の感覚として最初に見つけた物と同じと思われる魔法だったのが確認できた。

まだどんな魔法かまでは特定出来てないから確証は無いし、同一人物かも分からない。

ただ、人が使える魔法はある程度親からの遺伝で決まる。

勿論、後から学べば数は増やせるけれど、どうしても扱える系統が絞られているし、個々人の適性なんかも関係してしまう。

基本的な魔法であれば別だけど、少し高位だったり特殊だったりすると全く同じ魔法を扱える者はかなり限られる。

そして、今回見つけた魔法も少し特殊な部類になりそうだ。

であれば、現時点では各所で魔法で使った人物は同一と言える、けど。

更に厄介になる点として忘れてはいけないのが魔導具だ。

これが魔導具を使った物だとすると、どうしても同じ痕跡が残る。

例の壁を隠し通せるだけの魔導具を用意出来るなら、この程度の物は簡単に用意出来るだろう。

この辺りも、何かしら手掛かりが得られれば進展しそうだし、魔導具そのものを手に入れられれば一気に核心に近付けるけど、流石にそれは高望みが過ぎるだろう。

ともあれ、少しは得るものがあったから今は良しとしておこう。


その後はリアメノに連れられて普通に観光案内。

ドランドも、呆れつつ補足をしたり島主ならではの視点で解説したりと、意外と面倒見の良い点が見れた。

お陰で凝り固まった頭もほぐれたし、純粋に楽しめたから良い気分転換になった。

明日には次の島に向かう。

エオローの南東、リアメノが島主として治める島。

海に立つ壁からは少し離れるけど、その代わりヤーラーンと最も近い位置にある。

リアメノは自分の島を案内出来ると意気込んでいるけど、果たしてそこで何が待ち受けるのか。


そうして翌日。

ドランドの館を後にし、港へとやってきた私達。

「では、良い旅となりますように」

「ええ、色々助かったわ」

ドランドの差し出した手を握り返し、船へと乗り込む。

先に乗船していたリアメノに飛び付かれながら振り返り、手を振って見送るドランドに頷きを返す。

ここで得た情報は彼によって他の島主達、そして殿下へ共有される。

彼自身も、改めてこれまで得ていた情報を調べ直すとの事で、何かあれば知らせてくれる事になっている。

港が小さくなり、人影も見えなくなった辺りで視線を前へと向ける。

ここから次の島までは一時間程度。

既に遠くには島影が見え始めている。

「私の島はね、ヤーラーンに一番近い事もあってお洒落情報とか一番に入ってくるんだよ!」

「へぇ、それは楽しみね」

「うん!早く着かないかなぁ〜!」

忙しなく前と私を交互に見つめるリアメノ。

その顔を見ながら、私は今の発言について少し考えていた。

(情報は人伝てが早い。人の出入りが多ければそれだけ色んな情報も動く、、、)

ヤーラーンとエオローを行き来する行商人も居るだろうし、そろそろ謎ではなく有力な情報が欲しいな、なんて思いながら徐々に大きく見えてくる島へと目を向ける。

日差しを反射する海面は、穏やかな小波を立てていた。


「じゃーん!ようこそ私の島へ!」

港に降りて一番にリアメノが飛び跳ねながらそう言うと、待ち構えていた歓迎の為に集められた人々が花びらを撒き散らす。

「あはは、、、凄いわね」

「準備してたんだよ!皆もありがとねー!」

呆れた様に呟く私とは逆に満面の笑みのリアメノ。

周りの人々に律儀に頭を下げながら感謝を伝えていってるけど、これだけの人を集められるとなると人望はあるのだろう、、、いや、彼らの表情からすると、寧ろやんちゃな妹か娘でも見ているようだ。

まぁ、この性格なら恨まれたり疎まれたりはしないだろう。

ましてや、両親を思って早くから島主を務めているとなれば、尚更だろう。

そんな歓迎の輪を潜り抜け、用意されていた馬車に乗り込む。

リアメノも飛び乗り、集まった人達に手を振る。

一頻り済むとようやく馬車が動き出し、港から離れていく。

「ずいぶん慕われてるわね」

「うん!島主としてはまだまだなんだけどね、それでもここを愛する思いは誰にも負けないよ!きっと皆も同じだから、応援してくれてるんだよ!」

嬉しそうに語る彼女がふと窓の外に目をやる。

それに釣られて外に目を向けると、遠くの空に薄らと雲が出ていた。

方角的にはヤーラーンの方だろうか、あちらは今頃雨が降っているだろう。

「二、三日もしたらここも降られそうね」

「雨はやだねー。明日は目一杯遊ぶ!じゃなくて、案内するからね!」

何だか本音が聞こえた気がするけど、まぁ中央でも北東でも真面目にやったし、ここでは歩き回るより人の多い所に居た方が情報も集まるだろう。

それに、そういう所にはまず確実に何某かの()も潜んでいるものだ。

必要以上に気張るよりも、彼女とのんびりしている方が都合が良いかもしれない。

明日の予定を嬉しそうに話すリアメノを微笑ましく見つめながら、小さく息を吐いて少しだけ気合いを入れ直した。

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