一章四節
階段から落ちてった「我」。いやぁ、この子の不注意だと思います。ふんぞり返ってえっへん(`・∀・´)エッヘン!!ってしていたのでしょう。
*
「教授。もう少しで授業が終わりますが、朝、言い忘れたことあるんじゃないですか?」
ヘレナの隣にいつも座っている男子生徒が、これだけは言わなくてはと声を上げた。
「え、なに?アーサーくん?……あー、あの事ね!皆さんちゅーもくっ!皆さんに言っていなかったけど、三週間後、ソードマスターの生徒たちと合同合宿があるので準備しておくように!今年の合宿地ははヤマトの国近くの渓谷です!集合場所はフェニックス駅。駅の場所を知らない生徒は知っている友達に聞いてね。それと、時間とかはまだ決まっていないので、次の連絡を待つよーに!」
「「はーい」」
生徒たちはアルフォンス教授の連絡に声を合わせて返事をし、また友人同士で会話をし始めた。
「こらー!まだ終わりの鐘が鳴っていないでしょ!何回も言っているけど、授業中は私語厳・禁!」
「「……」」
しばらくの授業が始まった時の様な静けさの後、ゴーンと言う午前の授業の終了を知らせる厳かな鐘が鳴った。
「……はい、もういいですよ。授業以外だったら喋りまくって良いんですから、仲のいい人たちと三週間後の計画を練って下さい」
生徒はその言葉が耳に届くなり、近くの学友同士喋り始めた。
また夏の蝉の様にうるさくなっていく。
魔術教室の席でヘレナはアーサーに声を掛けた。
「ねえ、アーサー」
「ん?なに、ヘレナちゃん。合同合宿の話なら、俺はお断りだよ。ソードマスタークラスに知り合いがいるから」
このアーサーと言う男子生徒は、五年前に入学した時からいつも彼女の席の隣を陣取っていた。
何か考えがあって隣にいるのだろうが、我には分からない。
……いかがわしい考えだったら、時間をさかのぼってとっちめてやろう。
「そのことじゃないわよ。あ、でもちょっと関係しているわね」
「なになに?タッグを組んでくれ以外だったら相談乗るよ」
「ほら、今回の合宿地ってヤマトの国近くでしょ?あなた、ヤマトの人のお母さんがいるじゃない?地形とか、出てくる魔物とか知っているんじゃないかって思って」
アーサーという彼は、ヤマトの血をひいている。また、彼は母国が二つあるため、夏の休みはヤマトに帰っていた。
「あーそういう事。長い間仲良くしているし、教えてあげても良いけどなー。だけどそれじゃライバルに情報を渡すようなものだしなー」
そう、そうなのだ。
この合宿は十日間外部との連絡を絶ち、食物などを自分で調達する。
言ってしまえば生き残りバトルなのだ。
といっても、途中で死んでしまう生徒は十年に一人か二人しかいない。
皆実施訓練をしているからな。
死んでしまうはずがない。
「良いじゃない別に。それにアーサーは、そんな事いつも気にしないじゃない」
「それはそれ。これはこれ。自分しか関わらない事なら情報を渡すけど、仲間がいる状況なら口を割らない。これ戦闘の常識だから」
「なによー!ケチー!大体これ学校行事よ、助け合うべきよ!」
「ケチで結構だよ。それと助け合うのはヘレナちゃんの彼氏とだろ?」
そう言われたヘレナは頬の肉を膨らませ、反論した。
「彼氏じゃないわよ、ヨセフは幼馴染!」
「幼馴染?あれが?いつも一緒に登下校しているじゃないか、学校の噂になっているぞ」
「はーあ?一体いつ誰が『私達付き合ってます!きゃは♪』って言ったのよ……。誤解よー」
「誤解って言われてもなー。今更噂なんて消せないし」
「それもそうだけど!あーどうしてそんな噂がー」
「さあね。……いっそのこと、言っちゃえば?」
「……何を?」
「付き合ってますって」
「だーかーら!違うって!」
「ははは。お幸せに、ヘレナちゃん。あ、これだけは教えてあげる。ヤマトの渓谷近くはヤマト鬼とここら辺にいる魔物が出るよ。後は、自分たちで調べてねー」
そう笑って、アーサーは仲の良い友人と昼食を取りに行った。
ヘレナはまだ熱くなっていたが、気を取り直して自分も仲の良い友達と昼食を取りに行った。
どでかい平らに成らされた地球のイメージでこの物語を執筆しています。