一章 三節
猫化した「我」はどこに消えた?!
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「時にこれから処罰される者たちに、永遠の罰を受けている者たちの魂を見せて更なる恐怖心を煽る事もする。……だそうです!」
「はーい!先生質問です!どうして彼らは地獄に落ちたのですか?」
「ええ?アンリエッタさんが質問するなんて珍しい……。加点しないと……。そうですね……。教えを守らなかったからじゃないでしょうか。専門的な質問なので、今度神父様にでも聞いて下さい。親戚に聖職者がいるので紹介状を書いてあげます」
「先生、本当?やった!」
「ええ、本当よ。じゃあアンリエッタさん、今日の授業終わりに私の部屋に来てくださいね。来なかったら、この話は無かった事になりますよー?」
アンリエッタと呼ばれた女子生徒は返事をして、質問の為に残していた余白に今日の要点と、放課後教授の部屋に行くことを羊皮紙に書き込んだ。
「そろそろ、私は上に帰っていいか?アルフォンス。仕事があるので」
「あー、良いですよ。お疲れさまでした」
「お疲れ」
エズラエルが黒板の前を歩きながら空気に蕩けていき、アルフォンスはどっこいせ、と教授用の椅子に座った。
「我」が居住区にしている場所は、この物語の場所とは違う場所にあります。
時間軸は未来です。