四次元ワールド
1
ホワイトハウスの前の庭に光が現れた。
ガードマンが気づいて、警告の上、拳銃を発砲。効果なし。
電磁迷彩の透明兵士と判断。厳戒態勢。
次にライフル、自動小銃。同様にまったく効いていない。
戦車で砲撃しようとするが光は建物に入る。
大統領は核シェルターへ避難。
光は消えて、シェルター内、大統領の前に出現。
ガードが拳銃を向ける。
光「待ってくれ。怪しい者ではない」
ボディガード「どうみても怪しいぞ。何者だ?」
光「私は四次元の人間だ」
「何の用だ?」
「君たちは3次元世界にいる」
「それで?」
「君たちの世界の指導者千人ぐらいにコンタクトして
次元世界の理解を深めてもらうことにした。
一定時間だけそれが許される」
「よけいなお世話だ。帰ってくれ!」
「ワープ航法を研究しているだろう。四次元の理解ができれば可能だ」
大統領「待て、君、それは本当か?理解を深める、とはどうするのか?」
「四次元を体験してもらう。このように」
「!!!!」その場にいた10人が、突然わかった。
空間と時間の壁が取り払われた。
同時にどこにでも、どの時間にも存在していて、同時に存在していない。
しばらくして。
元のシェルターに、3次元の人間として、戻った。
大統領「・・・今のは幻覚なのか?しっかり記憶に残っているが。
まるで全知全能のゴッドになったような気分だった」
光
「ゴッドではありませんよ。我々四次元人の中にもチンピラや悪人、異常者が
いますから。彼らがあなたたちを見れば、幼児が蟻を踏み潰すように
ヘラヘラ喜んで殺すでしょうね。能力と人格は別です」
大統領
「なるほど。ウルトラマンワールドで、ベリアルや異次元人ヤプールが邪悪な存在、みたいなことか。
これは他人には説明が難しいな。狂人扱いされてしまう。
四次元人の感覚器官を持たなくては知覚できないことだ」
光
「冷静な分析だ。さすが知的生命体。まともな人間の反応。嬉しい。
メッセージをきちんと受け取ってる」
「・・・だったらわかるだろう。このことは秘密に、なかったことにしたい。
地動説を確信したガリレオの立場だ。
この知識を話すのは社会人として失格にされてしまうから」
「いやーでもバレると思いますけど、まあご自由に」
「千人ほどと言っていたが」
「国ごとにトップの立場の人たちに、コンタクトしています。
時間と場所、四次元人には関係ないんで。あ、それじゃこれで失礼」
光は消えた。
その後、この10人は、あまりにも優秀すぎて疑われた。
あの光に洗脳・汚染・すり替えされたのではないか?と
政府の特別精神病院に収容された。
集団幻覚、映像は作ったフェイク動画として、老人政治家たちを引退させて
第2グループの50代の政治家たちに世代交代した。
2
50代のB大統領。
「何者か知らんが政権交代に役に立ってくれたな。お礼を言いたい気分だ」
新チームの前で笑顔を見せていると。
「それはどうも。まだ実験期間中でして」
目の前に光が現れた。
B大統領「出て行ってくれ!」
光「いや~残念ですが」
「なぜこんなことを?」
「いや~、我々も上の五次元世界から干渉されてまして。
千年に一度だけのボーナスチャンスというか。
プロメテウスの火って感じですね~では~四次元に強制ご招待!」
3
それから3ヶ月間、世界中の国は政権交代し続けた。
新大統領「いいかげんにしてくれ、ミュータントを増やす気か!」
光「いや、そろそろ期限です。四時限目は終わり、というか。
この次元にちょっと滞在しましたけど、悪想念多いですね~
ちょっとやりたいことやっときますね。それでは・・・
あ、あなたには体験させるのは・・・どうします?」
「お断りだ!やりたいこととは?」
「じゃ、やめときます。めっちゃもったいないんですけどね。
やりたいことはゴミ掃除ですよ。じゃこれでシーユーアゲイン!
千年後にですけど~」
声が小さくなっていき、光がぐるぐる回って消えていった。
その時、地球人類の1割が塵と変わって消えた。
どうやら基本的に他人を苦しめ、汚すのが生きがいの悪人・異常者たちが
消されたと、その後の調査で判明した。
手本はエドウィン・アボット「フラットワールド」