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チャンプルーファンタジー  作者: 新里胡差
ヒンガーホール探索編
42/148

第42話 今帰仁城跡

 サールー()マジムンを倒した次の日から、急激に強くなったマジムンが1日に2、3匹現れるようになっていた。

 キジムナーが白虎を連れだして、もう少しで1月になる。

 数日で見つけると言っていたが、長生きであるキジムナーの数日は人間の感覚とずれているようで、まだ報告待ち状態だった。


 2019年7月15日。午前11時。

 今日は金武町きんちょうの漁港にマジムンの気配がしていたので、白虎に来てもらいたかったが、今日はダメだと言われてしまった。

 しょうがないので、タクシーを利用して現場に急ぎ、難なくマジムンを倒した。

 名物のタコライスを買って、近くの公園で早めのお昼ご飯を食べていると、キジムナーから連絡が入った。


「みんな、見つけたぞ! ヒンガーホールだ!」


じゅんになー(本当に)!? なま()まーやがやー(どこにいるの)?」


 ナビーは驚きをあらわにしているが、キジムナーは淡々と続けた。


今帰仁城跡なきじんじょうあとの石垣の上を走ってたんだけどよ、奥にある集落跡地で見つけたからその前にいるぞ。白虎を向かわせるからすぐ来てくれ」


 迎えに来た白虎に乗り、今帰仁城跡なきじんじょうあとに急いで向かった。

 ここは桜の名所で、開花の時期には城内の通路にまっすぐ並ぶ、濃い桃色の桜並木がきれいな場所である。

 城内のずっと奥まで進むと、サッカーボール大の黒いもやの前で、キジムナーとミシゲー(しゃもじ)ウッシー()が何もせずに俺たちを待っていた。


「来たか。お前らが言うヒンガーホールってこれのことだと思うが、あっているか?」


 ナビーが近づいて観察し始めた。


「私がこの世界に来た時に渡った空間と、同じ感じがするさー。これがヒンガーホールで間違いないと思うよ」


「でも、これを消すにはどうしたらいいんだ? 攻撃して壊したりできたらいいんだけど」


「異世界をつなげるのは、こっちのセジとあっちのセジをばんない(たくさん)使ってつなげるんだけど、この穴は今帰仁城跡なきじんじょうあとのセジを使っているから、ここのセジを消費してしまえば消えるはずさー」


 キジムナーが開けたところに行き、大きなガジュマルを出現させた。


「それならオラたちにまかせろ。マジムンは自分以外のものからセジを吸い取るから、オラたちがセジをばんない(たくさん)使えば解決だ!」


 ミシゲーとウッシーも俺たちの役に立てると知り、張り切ってキジムナーと一緒にセジを吸収して、放出し始めた。俺たちの出る幕はなさそうだ。

 琉美がつぶやいた。


「在来マジムンと仲良くしていてよかったね。もしかして、アマミンたちはこれを見越していたから友達になるようにって言ったのかな?」


「そうかもしれないねー……」


 ナビーの声が弱々しかったので確認してみると、下を向いて少し涙目になっていた。


「ナビー、どうしたんだ?」


「このヒンガーホールがなくなったら、この世界での私の役目は終わるからさー……もう、シバと琉美ともお別れだね」


『!』


 ナビーが元の世界に帰ることが頭の中になかったので、俺と琉美は衝撃を受けた。

 ナビーがこの世界に来た理由は、この世界にヒンガーセジ(汚れた霊力)が流れないようにするためなので、ヒンガーホールがなくなれば、もうこの世界にいる必要がなくなる。

 それに、元の世界は為朝ためとも軍との戦が続いているので、この世界で遊んでいる暇はないのだ。

 琉美は目にいっぱいの涙を蓄えている。


「わたし、まだナビーと仲良くなって3か月しかたってないんだよ! もっと一緒に戦いたいし、遊びたいよ!」


「私も、もっとこの世界でこの生活を続けたいと思っているけど、私を育ててくれた人たちがあっちの世界で戦っているから、帰らないといけないわけさー」


 俺も何か言わなくちゃと思っていると、ガジュマルの上でセジを上空に放出していたキジムナーが大きな声で叫んだ。


「お前ら、穴を見ろ! まぎー(大きく)なってるぞ!」


 小さくなっていくはずだったヒンガーホールが、だんだん大きくフラフープ大になった。

 そして、中からヒンガーセジがあふれ出し、崩れた城壁の石に次々と入っていった。

 ナビーは表情をこわばらせ、大声で俺たちを戦いの気持ちに切り替えさせた。


「みんな、戦う準備しておけよ!」


 ステータスを確認する。


Lv.51  


HP 620/620  SP 550/550


攻撃力 535 守備力 760 セジ攻撃力 390 セジ守備力 690 素早さ 570


特殊能力  中二病  マージグクル(土心)  昼夜逆転  


      身代わり  ティーアンダー(手油)

 

特技 テダコ(太陽の子)ボール Lv.10    ティーダ(太陽)ボール Lv.7


   イシ・ゲンノー(石ハンマー) Lv.6   セジ刀 Lv.8


   ヒンプンシールド Lv.10   セジオーラ Lv.7



 崩れた石垣の石が、一か所にどんどん集まっていくと、5mくらいの高さのマジムンが現れた。


「ゴーレムみたいだな。ナビー、やっぱりあれは強いのか?」


「この世界で戦った、舜天しゅんてん以外のどのマジムンより圧倒的に強いさー。それに、生き物以外の外来マジムンが初めてだから、気をつけて戦おうね」


 琉美がボソッと言う。


「ミシゲーみたいに弱ければいいんだけど」


「琉美様、ひどいシャモよ! ってウッシー、何するシャモか!?」


「すごいかっこいいモー! ゴーレムだモー!」


 ウッシーは蹲踞そんきょの姿勢になり、角を巨大化させて、石垣ゴーレムに向かっていった。


牛突ぎゅうとつモーしん!」


 石垣ゴーレムの胴体にものすごい頭突きが入った。だが、傷がつくこともなくウッシーは元の位置まではじかれた。それなのにウッシーは楽しそうにしている。


「やっぱりゴーレムは硬いモー!」


 ウッシーはゲームなどを知っているので、ゴーレムをみてテンションが上がっている。

 体勢を整えて、もう一度ぶつかっていった。


「ウッシーだいぶ強くなったみたいだな。全然効いていないけど……」


 ウッシーが2度目の攻撃をしたとき、微動だにしなかった石垣ゴーレムが動き出した。

 頭の上で両手を組み、ウッシーめがけて振り下ろした。


「ヒンプンシールド!」


 ナビーが設置したヒンプンシールドは粉々に壊されたが、ウッシーは間一髪で逃げていた。

 その時、キジムナーが声をかけてきた。


「どうするか? オラがやっつけてもいいぞ」


 正直ありがたいが、この戦いが最後になる可能性があるので自分たちで戦いたい気持ちでいる。

 俺と琉美が見つめるとナビーがキジムナーに返答した。


「こっちは大丈夫だから、ヒンガーホールの方お願いしていいねー? こいつ倒しても他の奴に出てこられたら大変だからよ」


 キジムナーは手で合図をしてセジの放出をつづけた。

 ウッシーはミシゲーと一緒に攻撃しているが全く歯が立たないようだ。


「おい、お前たち。後は俺たちがやるから戻ってこい!」


「わかったモー。強いから気を付けてモー!」


 俺とナビーが前に出て、琉美と白虎が後ろでサポートする陣形をとる。

 相手の特徴を知るために、こっちから仕掛けてみることにした。

 遠距離攻撃のティーダ(太陽)ボールをナビーと一緒に放つが、全く効いていないようだ。


「防御力が高すぎるな。それに、攻撃をしてこないのが不気味だな……」


 俺の言葉を理解できるのかわからないが、石垣ゴーレムの手に大岩が現れ、こちらに向かって投げてきた。

 俺とナビーは後ろに琉美がいる事が頭によぎり、十分避けられるがその選択をしなかった。


「ヒンプンシールド・イチチ(5つ)!」

イシ・ゲンノー(石ハンマー)!」


 俺が設置したヒンプンシールドをすべて壊されたが、失速した大岩をナビーがイシ・ゲンノー(石ハンマー)で殴って砕いた。

 ナビーが半分後ろを向いて指示を出す。


「琉美! 私たちはカバーする余裕がないから、白虎に乗って逃げながらサポートしてちょうだい!」


「わかった! 回復はこっちで勝手にやるから、2人は戦闘に集中して」


 琉美は白虎に乗り、ムチをもってさらに後方に下がった。

 俺とナビーは、テダコ(太陽の子)ボールを石垣ゴーレムの顔面に当てながら作戦を話し合う。


「あいつ、攻撃も守備も半端ないな。至近距離の攻撃じゃないと、ダメージ与えられないのかも」


「そうだね。ダメージ覚悟で距離を詰めて、2人でアースン(合わせ技)しようねー。私はにじり()から行くからシバはひじゃい()ね。いちゅんどー(行くよ)!」


 左右から回り込みながら走りだすと、石垣ゴーレムはまた大岩を投げてきた。

 近づくほど速くなっているが、セジオーラを使っているのでよけることができている。

 石垣ゴーレムの腕が届きそうな所まできて2人とも足を止めると、両腕を振り下ろされた。

 軽く後ろに飛んで攻撃を避け、すぐにナビーとアースン(合わせ技)を繰り出した。


火災旋風かさいせんぷう!』


 ナビーのカジマチ(つむじ風)に俺のティーダ(太陽)ボールを放り込むと、炎の竜巻ができて、石垣ゴーレムに襲い掛かった。

 ダメージを与えられているようで、ほんの少し体の石が減っているように見えた。


「よし、いい感じだね! このまま打ち込むよ!」


 ひるんでいるうちに直接攻撃をしようと、俺はセジ刀・千代金丸ちよがねまる、ナビーはイシ・ゲンノー(石ハンマー)を構えて攻撃しようとした時、石垣ゴーレムの腕がバラバラになって俺たちを襲った。

 持っていた武器で、各々振り払えるだけ振り払ったが、至近距離でたくさんの石が飛んできたので、2人ともかなりのダメージを食らってしまった。


「うぐっ。いったんひくよ!」


 すかさずステータスを確認しておく。


HP 237/620  SP 480/550

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