開店準備
「それで、玄関の広間を改装しているのは、昨日話していた、うぃんどうしょっぴんぐ、とやらのためか?」
「そうだよー。」
お屋敷の1階部分の階段を撤去して、奥に飛翔の魔法を錬金・彫金した大型のエレベーターを設置するという魔改造を施し、玄関の広間を広くした後、壁一面にガラスケース、ガラスケースの上に柔らかな照明を一つずつ取り付け、売るものの見本を1つずつ設置していく。
ガラスケースを強くしたいと思ったら、強化ガラス以上の強度になった。私の錬金スキルは自分の意思で強くも弱くもできるらしい。
売る物は、基本的にお貴族様相手に、日用品以外は受注生産にしようという話になった。
地球知識チート日用品、高い採取物、防具(武器は戦争に使われたら嫌だから作らない)、カイコドーン様とクイーンカイコドーン様の糸で作った、服と布と糸そのもの、生活魔法系魔法付与アクセサリー、といったところ。
中央にも強化ガラスケースを置いて、魔法付与アクセサリーを売りたい、作れると言ったら、オリヴァーさんがランドさんにすぐに連絡を取ってくれた。
ランドさんは、エレベーターに大層驚いていたが、企業秘密の一点張りでリュウが納得させ、加工前の宝石を大量に購入させて貰ってお帰りいただいた。
そんな訳で、今は健康と浄化のスキルの付与をしてる。
どうやら私の彫金スキルは、自分のスキルを100%付与できるみたいだ。
健康と浄化スキルなら、MAXでも問題ないだろう。常時清潔か、常時健康でいられるだけだ。その代わり宝石の加工や金銀の細工は、非常に凝った作品にした。凝れるだけ凝ったら彫金のレベルが2レベルも上がったのは嬉しい誤算だった。
防具はもちろん鉄は使えないので、青銅製で鎖かたびらや鎧など、一式の装備を鍛治スキルで作ってみたが、以前鉄で一般販売されている青銅製の装備を作った時には簡単に貫けてしまったのだが、私が作った青銅装備は、鉄で大きな傷は付くものの、貫けなかった。
私の鍛治スキルで作った物は、どの材料でも強く作られてしまうらしい。これで命が守れるならいいけどさ。
カイコドーン様の糸で編み込まれた布は手触りがとても素晴らしく、レンのラノベ知識によると、このドレスがウケがいいといわれて、まだこの世に出ていない、流線的な、いわゆるマーメイドドレスも作ってみた。
クイーンカイコドーン様の糸で作ったドレスは更に上質な手触りで、魔法抵抗力が非常に高いことが分かり、店の中で1番底値が高い商品となった。
「ユカリさん、これはここに飾るんだよね?ドレスもガラスケースの中でいいの?」
「1番の力作はサンプルとして置いておきたいから、それでお願い。試着用のドレスとか布もあるから大丈夫。」
「綺麗だな。これはどうしてこんなに色取り取りなんだ?」
「カイコドーン様たちの糸がそもそも色取り取りなんだ。染色の手間がなくて助かるよ。」
玄関先のウインドウショッピングを楽しんでもらった後は、ご要望の品に添った応接間や客室へご案内する。
応接間(右)には、様々な日用品のサンプルが、応接間(左)には、ベッドやソファー、木工品や木工家具のサンプルが置いてある。1階の客室には、家具を総とっかえして服の見本を置いたり、試着室も用意した。
全ての部屋をご覧になりたい方は、もちろん全てご案内する。
ちなみにウォシュレット付きの水洗トイレも完備してある。これも受注生産可能だ。
ベッドやソファーの鉄製品は見えないし、誰も加工方法が分からないだろうから、思い切って使ってみた。絶対売れる自信がある。
エアコンや冷蔵庫はオーバースペックだということで、売らない方向で固まった。
高い採取物はメニューに載せ、私が倉庫に入ってこっそり収納やマイホームのアトリエから取り出す予定だ。レアユ以外の狩りは基本的にレンとリュウにお願いしたいと思っている。薬草などの採取には探知や鑑定が必要だから、必要に応じて私も同行するけどね。
最後まで悩んだのは、地球知識チートで作る日用品であった。
リュウやレンと話し合った結果、日用品は、女性の好みそうな美容製品にまずはターゲットを絞ることにした。
リュウによると、この世界の女性の化粧品は肌に悪いものが多く、皆悩まされているらしい。なので、美肌や肌荒れに対策するものを中心に、香水もまだなかったので(ポプリのようなものを持ち歩いていた)香水も作った。
髪の毛のケア商品については、自分で作ってマイホームのお風呂に置いていたが、リュウが絶対売れるというので増産して売ることにした。
肌に優しい自然由来の化粧品、基礎化粧品、荒れた肌の修復薬、コットン、ハンドクリーム、5種の香水、マニキュア、肌に優しい石鹸と、髪に優しいシャンプーとコンディショナー。ヘアオイル。
日用品というか美容品だが、お貴族様向けの商品だし、高かったり希少であったりする材料を惜しみなく使った。でもだからか、リュウは「うーん、いや、安すぎ...だがはじめは...」など唸りながら、なんと地球での相場の約5倍の値段をつけていた。マジか。
私は2人に商品と試供品、ガラスケースの中の商品の設置を任せて、せっせとマイホームのアトリエで商品を作っては、基本的には収納していく。
ふと思いついて、生産ではないが、柔らかいパンや、甘いお菓子も作って収納しておいた。お客様にお出しする用だ。
調子に乗って色んな地球料理も再現してみた。ハンバーガーやフライドポテト、ポテトチップスにピザ、パスタなどもある。まあこれはレンやリュウが食べるだろう。
「くーん。」
「リルごめんね、遊んであげられなくて。そうだ。」
私は思いついて犬のガムを作る。
「わふ、わふわふ。」
リルは楽しそうに齧り付いている。
「このあとおやつも作ってあげるね。」
「わん!」
こうして犬用のグッズとおやつも、店に並ぶこととなったのだった。
次回更新は、4月1日朝8時の予定です。




