訳ありの3人組
お茶が3杯目に突入しようとした頃、急に戦いの音が止んだ。
お?戦いが終わったのかな?何か話してるみたい。
私は耳を澄ませる。
「はあ、はあ、やるな、レン。」
「はあ、はあ、アンタもな、リュウ。正直予想外だよ。」
リュウは爪を伸ばして構えを取る。
同じくレンも光刀を構えた。
「お互いの力は拮抗している。余力もない。次で決める。」
「それは僕のセリフだ。...勝った方がユカリさんを幸せにする。それでいい?」
「ふっ...ならば、絶対に負けるわけにはいかないな。」
「僕もだ。」
いやいやいやいや、何2人で勝手に決めちゃってんの!?
2人は力を開放して走り出す。
「転移!シールド三重!」
2人の攻撃の間に割り込んでなんとか攻撃を止め...止められない!?
「ユカリ!?」
「ユカリさん!?」
「シールド10倍!!」
全部で30枚のシールドが張られ、弾き飛ばされ気を失ったリュウとレンが落ちていく。
「風魔法!」
2人を風で受け止めて地面に下ろす。
気を失って大人しいうちに...
私は上級ポーションを2人の口にとくとくと注ぎ込んだ。
戦いの傷が塞がった2人がほぼ同時に起き上がる。
「何が起こった?ユカリが間に入ってきたような。」
「そうだ!ユカリさんは!?無事!?」
「無事。」
2人の前に腕を組んでドヤ顔で前に出る。
「さすがにどっちかが致命傷になりそうだったし、私の幸せがどうのこうのって言ってたから止めたよ。いい?2人とも。私の幸せは、私が決める。私の幸せは、私が作るの!」
2人は一瞬ポカンとして、顔を見合わせると、声を上げて笑った。
「なんで笑うのーー!」
「レン。」
「何さ。」
「ユカリを傷つけない、守る、裏切らない、と誓えるか?」
「誓う。」
間髪入れずにそう答えると、レンが真剣な目で私を見てくる。
なんで私?リュウを見なよ。聞いてるのリュウだよ。
リュウは、立ち上がるとレンの方に歩いて行って、レンに手を差し出した。
「アンタは誓えるのか?」
「とっくに誓っている。」
レンは差し出された手を取ると、立ち上がった。
「仲間に入るのを認めてくれたってことかな?」
「まあな。」
「ユカリさんは?」
「はあ、なんか訳ありなんでしょ?いいよ。養ってはあげないけどね。」
「うん、よろしくね。ユカリさん、リュウ。」
こうしてレンが、私たちの仲間になったのであった。
「リュウ、レン、なんか疲れたし泥だらけだし、マイホームに行こう。」
「ああ。」
「マイホーム?」
「マイホーム!」
いつもの様に異空間への入り口が開く。
「へえ、変わったスキルだね。」
「私は空間魔法のスキルレベルがMAXなの。これは空間魔法の一種だよ。」
「なるほど...うわ!家に川に畑に...風まで吹いてる!魔力がすごい!」
「魔力感知系のスキルがあるの?」
「うん。魔力しか感知できないけどね。」
「ユカリ、レン、まずは家に入らないか?流石に疲れた。」
リュウに促されて、3人で家に入っていった。
今度来る時は、屋敷で待ってるリルも連れてこようっと。
それから3人でお風呂に入ろうとしたのだが、
「なんでリュウは平気なのさ!」
「む、壁があるだろう?」
「し、下は繋がってるし、同じお湯だし、お、音も聞こえるし。」
と、レンが意外な反応を見せた。
「私は気にしないよ?みんなでお風呂楽しいし。」
「ユカリさんは気にして!とにかくユカリさんは待ってて!すぐ入ってくるから!」
そんな訳で、2人とは別の入浴になったので、その間に2人のタオルやらパジャマ的な服を用意して脱衣所に置いて出る。レンのものは、さっき作った。カイコドーン様製のシルクのパジャマは、さぞ着心地がいいに違いない。
「あがったぞ、次はユカリが入るといい。気持ちのいい湯だった。」
「あっつー、リュウに負けたー。でも久しぶりのお風呂最高に気持ちよかった!」
2人ともご満足いただけたみたいで何よりだ。
「レーンー、これどうぞ。キンキンに冷えとるでー。はい、リュウも。」
と言って、お手製のフルーツ牛乳入りの瓶を差し出した。
「こ、これは...!ユカリさん!飲んでいいの?飲んじゃうよ?」
私はコクリと頷いた。
「ごくごく、ぷはーーーっ!これだよこれ!最高だよユカリさん!」
「そうだな、うまいな、さすがだユカリ。」
「リュウはこれのありがたみがわかってないんだよ!」
それから2人ともお腹が空いていたみたいだったので、オーク肉のカツをたくさん揚げた。
3人で団欒の時間を過ごしながら、「塩もいいけど、ソースが食べたくなるよねー」などと、レンと話していると、リュウが首を傾げた。
「そーす、というのはなんだ?なぜ2人とも知っているんだ?さっきの飲み物も2人は知っていたようだったし。」
「僕たち2人は同じ世界から来たからに決まってるじゃん。僕は異世界召喚で、ユカリさんは異世界転生だけどね。」
...レンが爆弾を投下した。
「異世界...転生...?ユカリ、どういうことだ。」
私は、思わずサッと目を逸らした。
「そ、それよりレン。訳ありっぽかったじゃん。あかん系の異世界召喚ってさ。詳しく聞かせてよ。」
「あ、うん、僕が召喚されたのは、竜族が治める亜人族の国、ドラゴニア国だったんだけど...。」
「ドラゴニア?」
それってリュウの名前!
私はリュウをじっと見つめるが、今度はリュウがサッと私から目を逸らした。
場が沈黙する。
「え?何この空気。僕なんか変なこと言った?」
レンは私とリュウを交互に見て、困った顔をしていた。
次回更新は、3月8日朝8時の予定です。




