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返してきなさい

 この青年...今は制服ではないけれど、間違いない。


 あの時、日本語で、


『あなたも、召喚者ですか?』


 って聞いてきた青年だ。


 マントのフードも被っているし、黒髪の前髪が長めで、黒目が隠れて見えるが、間違いない。 


「ねえ君も、召喚者なんだろう?召喚の場には居なかったけど、前に会った時、日本語、理解してたよね?黒髪に黒目だし。」


 と、また日本語で話しかけてくる。


「すみません。何て言ってるのかさっぱりわからないんですけど。」


 私は警戒しつつも、日本語がわからないフリをする。


「いやあ、無理があるでしょ。明らかに警戒してるもんね。」


 青年はいつの間にか私の後ろに立ち、私のフードを取っていた。


「ほら、綺麗な黒髪だね。この国では存在しない色だ。」


 青年がそっと私の髪に口づけを落とす。


 ぞわぞわっとして、私は街中ではあったが、思わず、


飛翔フライ!」


 を使う。


 ところが。


飛翔フライまで使えるんだ。君、興味深いね。」

「な、なんで付いて来て...いや、なんで飛べるの!」


 スキルレベルが相当高くなければ無理なはずなのに。


 すぐにでも転移したいが、転移はある程度集中しないとすることが出来ない。


「僕は風魔法ウインドのスキルレベルがMAXなんだ。自由自在に飛び回ることはできないけど、浮いて風に乗ることくらいはできる。」


 この人、魔力制御スキルがないんだ!


 私はすぐ様方向転換をして青年のいない方に全力で飛んでいく。


「いいねえ、いいねえ、そんなことまでできちゃうの?」

「なんでついてこれるの!!ていうか空中走ってるー!何これもうやだーーー!」

「僕のスキル、空歩と縮地だよ。それでも追いつくかどうかかあ、君すごいね。」

「やだやだこわいーー!」


 全力で飛び回るが、青年はわざとかってくらい、びったりと張り付いてくる。


「逃さないって、言ったよね?」


 耳元でそう囁かれて、ぞわぞわと怖気が立った私は、とうとう白旗をあげることにした。


「わかった!わかったよもう!話を聞く!それでいい?」

「ふふ、もう終わりでいいのかい?」

「いいよもう!気持ち悪いし怖いし!」

「随分な物言いだね、君が逃げるからだよ。」


 青年は肩をすくめる。


「それで?日本人の異世界召喚者が何の用?言っておくけど、私は違うからね。」

「え?そうなの?じゃあ君、転生か何か?」

「その通り、転生者。スローライフを送りたいだけの転生者!厄介ごとはごめんなの!」


 青年は、少し考えるそぶりをして、「そうか」と呟いた。


「僕の他にも逃げてきた人がいたと思ったんだけど、違ったんだね。じゃあ元の年齢は今の姿のまま?」

「いや、アラサーだったよ。神様都合で若くなったの。」

「そっかあ、年上のお姉様だったのかあ。」

「前世がどうであろうと私は私。スローライフを満喫してるから邪魔しないでもらいたいの。」


 青年は、少し考え込むと、真面目な顔をしてこう言った。


「助けてほしいんだ。」

「話聞いてた?」

「まあまあ、ちょっと話聞いてよ。お姉さん、ラノベは読む?」

「結構読んでたよ。それが何?」

「僕のは、あかん系の異世界召喚。スキルを隠蔽して追放されたからバレないうちに隣国に逃げだしてきた。」


 察するに余りあるー!

 

 あー、それで戦争がどうのっていう...異世界召喚者たちを戦争に利用するつもりなんだね隣国の何とかって国は。


「事情はわかった。それで、私にどうしてほしいっていうの。お金もそんなにないし、商人になりたてだし。厄介ごとには首突っ込みたくないし。スローライフ送りたいし。他国の異世界召喚者を助けてほしいとか無理だからね。」

「いやいや、あいつらはあいつらで、ノリノリで世界を救うとかのせられてたからどうでもいいんだよ。僕無一文でめっちゃ馬鹿にされて追い出されたしね。」

「......じゃあ、何をしてほしいの?」


 その言葉に青年の目が輝き、ぎゅっと手を握ってきた。


「ちょっ!」

「お姉さんお願い!僕を養って!」


 は?


「お金もないし、身分が不確かだからって冒険者ギルドにいっても門前払いだし、お腹も空いたし、動物を狩って生活をしてきたけど限界なんだ!」

「じゃあ少しお金をあげるし、一緒に行って事情話してあげるからそれで登録してきなよ。腕はあるんでしょ?」

「お姉さんと一緒がいい!君に決めたんだ!」

「なんでやねん!!あとお姉さんとか君とかやめて、今の見た目と年齢は、君がたぶん年上なんだし。私にはユカリって名前が...」

「ユカリ...ユカリさんだね。」

「ぐいっぐいくるなあ!」


 態度も身体も擦り寄ってくるので、ぐいぐい離そうとするが、離れない。


「逃げても逃さないって言ったでしょ?ユカリさん、僕の名前はレンだよ。これからよろしくね。」

「いやいやよろしくできないよ!」


 そんな押し問答を繰り返しながら、リュウの元に転移すると、リュウは既に待ち合わせ場所に来ていた。


「材料集めをしておいたぞ、ユカ...リ?誰だお前。ユカリから離れろ。」

「いやだね、誰だアンタ。アンタこそユカリさんに馴れ馴れしいんだよ。」

「ちょっと、リュウに変なこと言わないでよ。」


 ぐいぐい離そうとするが、やはり離れない。


「ユカリ。」

「はい。」

「元いた場所に返してきなさい。」


 私だって出来ればそうしたいわ!

次回更新は、2月24日朝8時の予定です。

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