お屋敷の防備を固めよう
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その後、使用人の人たちはそれぞれの仕事があると言って解散し、私たちはオリヴァーさんにお屋敷の中を案内してもらっていた。
「ここが第二応接間で...こちらは客室、次に主寝室に...使用人室はこちらとこちらですな。ここが中庭で、こちらは庭園の管理小屋で...」
だいたい案内してもらって、私は豪華なお屋敷に圧倒されていたが、リュウは眉根を寄せて言った。
「防備が足りない。」
と。
リュウの希望を聞くと、門や外壁がやわすぎるとか、上空から侵入されてしまうとか、物理攻撃と魔法攻撃の対策だとか、盗難対策が万全でないとか、取引場所である応接間の盗聴対策まで必要だと言い出した。
いくら何でも考えすぎだと言ったが、
「ユカリがこれから何を入手してくるか、何を作るのか全く想像がつかない。これは考えすぎなんかじゃない。当然の対策だ。」
と譲らなかった。
門や外壁はなんとかなるが、侵入対策、攻撃対策、盗難対策、盗聴対策には、宝石が必要だった。
創造知識によると、例えば水を出すには、水魔法を魔石に込めればいい。浄化だって、魔石に込めれば対象を定めた消臭剤というか忌避薬というか、置くだけポンみたいな効果を出すことができる。
だが、水魔法を魔法として発動させるためには、媒介となる宝石が必要なのだ。
今回のリュウの過保護すぎる防備を叶えるためには、シールドと、サイレントシールド、ロックシールドという3つの空間魔法を発動させる必要があった。
発動であるからして、魔石だけでは不十分、宝石が10個ほど必要であった。
どうしようか悩んでいると。
「ランド殿が防備に必要な経費は出すと言っていただろう、相談してみたらどうだ?」
とリュウが言った。
ちなみにではあるが、使用人たちの給金も国が支払っている。防備にかかる負担は全てもつと豪語していたが、本当だった。明らかに貰い過ぎではあるが、ありがたや。
宝石も今すぐ買えるお金がない、と思う。相場がわからない。
オリヴァーさんに言うと、すぐにランドさんに連絡をとってくれるということになった。
「こんなにすぐ連絡が来ると思いませんでしたよ、早速手配させていただきました!」
「おおお」
そこにはキラキラ輝く宝石の原石が10個用意されていた。
「お、お高いのでは...」
「錬金で使う宝石の原石はさほど高くありませんよ。これを磨いて加工して装飾品として使うほどの宝石となれば、やはり値は張ってしまいますが。それにしても、ユカリ殿は錬金術もできる彫金師だったのですね。」
「あー...まあそんな感じです。色々手広くやってます。」
「?そうですか。」
ランドさんは、宝石を渡すと颯爽と去って行った。
忙しい人なんだろうなあ。ありがたやありがたや。
「わんわん!」
「リル、これはおもちゃじゃないよ、めっ!」
「わふう...」
リルはシュンとすると、屋敷の庭に向かって走っていった。
とはいっても、庭を荒らすようなことはない。
フェンリルの子だけあって賢く、こちらの言うこともしっかり理解しているようだ。
「宝石が届いたのか。早かったな。」
「うん。さすがオリヴァーさんなのか、さすがランドさんなのか。」
「どっちもだな、王に感謝しよう。」
「だね。...さて、壁からやろうか。使用人さんたち呼んでくるね。」
「ああ。ここで待ってる。」
メイド頭のランさんに、今から外壁工事をするが、誰にも見られたくないことを告げると、使用人さんたち何人かが顔が見えないほど大きな布をもってやって来た。
「こちらの布で隠しますので、隠された場所から徐々に外壁を作っていただければと。」
「ありがとうございます、皆さんよろし...く...なんで目隠ししてるの!?」
「誰にも見られたくないとおっしゃったので。」
「みんなはいいんだよ!?」
「大丈夫です。我々は、目隠しごとき、全く問題ありません。お気になさらず。」
「気にするし危ないし!目隠し取ってください!!」
「...わかりました。」
使用人さんたちは全員目隠しを外すと、何事もなかったかのように、テキパキと作業に取り掛かる。
「暗部ってわかってるからって、心臓に悪いことしないでほしいわー。」
私は外壁をざっと眺めてみる。
外壁は簡単な青銅製の柵と石で囲われていた。これを全て取り壊して、鉄柱を何本も立てて鉄柵で囲いその後水と砂と砂利とセメントのようなものを混ぜて調合したもので固める。要するに鉄筋コンクリートの外壁だ。色は白いから、お屋敷の雰囲気を損ねないだろう。
門も鉄製の門に変更して、青銅のメッキをする。
「よし、じゃあいくよー、分解、収納、錬金!」
一瞬で青銅製の柵と石が収納され、鉄筋コンクリートの外壁が出来上がる。
隠す場所を次々にずらしていってもらって、お屋敷を一周したところで、外壁の強化が完了した。
「後は門だね、分解、収納、錬金!...ふう、できたあ。みなさんお疲れ様でした!ありがとうですー!」
「お見事でございました。ランは感服いたしました。」
「そうかな?ありがとうございますー。この後は、宝石と魔石を錬金して...」
「一度お休みになられては?お茶をお入れします。」
「んー、じゃあそうします。庭にお願いできますか?」
「かしこまりました。」
庭の西洋風の東屋?に腰掛けると、リュウがリルを伴ってやってきた。
「わんわん!」
「手伝えなくてすまないな。外壁と門はできあがったのか?」
「大丈夫だよ、あとは魔石と宝石と空間魔法を、錬金と彫金して、埋め込むだけ。」
「そうか。よろしく頼む。」
「リュウが必要だって言うなら、必要なんでしょ。任せて。」
「ユカリ様リュウ様リル様、お待たせいたしました。」
その後私たちはおいしいお茶とお菓子(リルは骨つき肉)を堪能し、シールド、サイレントシールド、ロックシールドの宝石と魔石を錬金彫金した後、然るべき場所に設置して発動させた。
こうして、防備、盗聴、盗難において、最強のお屋敷が完成したのであった。
次の更新は、2月16日朝8時の予定です。




