表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/64

失言

「さてそれでは屋敷の中をご案内いたしましょうか」


 オリヴァーさんが屋敷の鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。


 ガチャリという音を立てて、鍵が開いた。


「ちょっとドキドキします。」

「この屋敷の主人はユカリ殿、いえ、ユカリ様です。堂々とお入りください。」

「は、はあ。」

「じゃあ入るか、ユカリ様?」

「やめてよリュウ。」

「わん!」


 ドアノブに手を掛けると...


「ユカリ殿ー!使用人を連れて来ましたー!!」


 と、背後からランドさんの声が聞こえて来た。


「え?早くないですか?」

「はい、それが、レアユを王様にお渡しし、腕が立ち口が固く、礼儀作法のある程度できる使用人を所望されているとお伝えしたところ、この者たちを連れて行け、と。後はオリヴァー殿に任せればいい、レアユの礼だと、それとこれからも期待していると仰せになられて。私にもよくわかりません。」

「??はあ。」

「では、私はこれで。失礼いたします。」


 ランドさんが馬車に乗って帰ると、その後続の馬車の扉が次々と開き、10人ほどの人が使用人のメイド服や執事服、あと数人のコックさんの服を着た人たちが現れ、門を通ると、横一列に並び、メイド服を着た人たちはその場で深く、何の号令もないのに一斉に頭を下げ、他の人たちは一糸乱れぬ姿勢で片膝をついた。


 あ、馬車全部帰っていったな。


 真ん中のメイド服の女性が頭を上げ、一歩前へ出て、所作正しく礼をした。


「オリヴァー、一同参りました。ユカリ様リュウ様、これからどうぞよろしくお願いします。」

「お前たちならば、ユカリ様の使用人としても護衛としても問題はなかろう。ユカリ様リュウ様、この者どもと私ともども、これからよろしくお願い申し上げます。」 


 その様子を見て、リュウが前へ出る。


「お前たち、腕に覚えはあるのか。」


 リュウが威圧するが、使用人たちは怯まない。


「はい、ユカリ様とリュウ様をお守りいたします。」


 リュウは更に威圧的な声で告げる。


「ユカリの作る物、採取するものは、ユカリの全ての行動は、絶対的に秘密厳守だ。守れるのか。」


 メイドさんはリュウの目を見て、「はい」とハッキリ告げる。


「秘密を漏らせと言うのが王命でもか!!」


 すると、使用人一同が立ち上がり、胸に拳を当ててドンと叩いた。


「どんな秘密も誰にも漏らしません!!」


 リュウはその様子を見て、「よし。」と言った。


 ...なんて?


 え?ついていけてないの私だけ?


 どんな覚悟でうちに来ちゃってるのこの人たち。


 たかが一商人とも言えないような私に?


 え?レアユ効果なん?


 私は悪いと思いつつ、その場の全員に鑑定をかける。


 オリヴァーさんは...暗部所属。兼ユカリ邸の執事長。


 暗部?


 全員鑑定するが、全員が暗部に所属しているとの結果だった。


 暗部って何だ?


 詳しい鑑定をすると、


 暗部...国の諜報員、王の密偵、影の部隊。時折暗殺も行う。どんな仕事も礼儀作法もこなすスペシャリスト集団。


 との結果。


「え、全員暗部なの?」


 リュウとオリヴァーさんも含めた全員の視線が私に集中する。


「あ、しまった、思わず出た。聞かなかったことにしてください。」

「そうはいきませんが?」

「だな。」

「そうですね。」

「わふ?」

 

 全員に詰められて、「い、いやあ」としか声が出なかった。


「全員が一目で見破られたのは、前代未聞ですな。我々はそんなにわかりやすかったですかな?」


 と、オリヴァーさんが聞いてくる。


「いやあ、なんとなく?所作とかで?暗部っぽいなーみたいな。」


 オリヴァーさんの目が見られないんですけどっ!


「はっはっはっ!この国の兵士でもごく一部の者しか暗部の存在を知らないのにですかな?」

「んんーーっ!そうですねえ!ふっふっふっ!」

「いやそんな訳ないでしょう。」

「ですよね。」


 私はリュウの方をチラ見して助けを求める。


「はあ、言ってもいいな?ユカリ。それに暗部といい、さっきの誓いといい、この者たちは信用できると私は思う。」

「うん、私もそう思う。リュウ、私うまく説明できないと思うから、お願いしていい?」

「わかった。とりあえずみんな、屋敷の中に入ろう。」


 暗部にしても私のことにしても、外で大っぴらに話せる内容じゃない。


 みんなでオリヴァーさんについていく。


「第一応接間です。どうぞ。」


 ぞろぞろと大人数で入っていくが、豪華絢爛な応接間はまだまだ余裕がある。


「ユカリ様、リュウ様、お座りください。」


 と、促されたので豪華なソファーに座ってリルを膝の上に乗せた。


 ......めっちゃ沈むなこれ、私の趣味じゃない。後で変えておこうっと。


「それで、本題に入りますが、何故我々が暗部の人間だとお分かりになられたのですかな?」


 リュウが「はあ」と嘆息する。


「ユカリは、教会の人間でもないのに、鑑定が使えるんだ。このことは絶対に秘密だ。」

「なんと...」


 流石に予想外だったのか、オリヴァーさんも使用人になる人たちも、一瞬息を呑んだ。


「教会に見つからないわけがないでしょうに...なぜ...」 

「それは私も知らない。教えてくれるか、ユカリ?」

「それは秘密デース。」


 リュウが肩をすくめる。


「鑑定をはじめとして、ユカリのやることは規格外だと覚悟してもらいたい。そして命をかけて秘密を漏らさないと誓ってほしい。」

「いやいやいや!命かかったら喋っていいよ!そこまで求めてないよ!」


 慌てて否定するが、オリヴァーさんが全員に号令をかける。


「皆のもの!わかったな!命をかけて秘密を遵守せよ!」

「「「はっ!」」」


 全員が私とリュウに向かって跪いた。


「本当に命までかけなくていいですからーー!"いのちをだいじに"ーー!」


 全員が深々と礼をしてくる。


「本当に命かけないでね!?マジだからね!?」

「わふう。」


 リルは私の腕の中でベストポジションを見つけたのか、くうくうと気持ちよさそうな寝息を立てていたのだった。

次の更新は2月12日朝8時の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ