お迎えに参りましょう!
「つーかーれーたーりー。」
ポルカの村の件でだいぶ疲労を感じた私たちは、マイホームに戻って、夕食を食べた後、リュウと2人で壁を隔てた露天風呂に浸かっていた。
「まあ、あの惨状ではな。」
「二度とポルカの村に行けないー。」
ぶくぶくと沈むと、心の疲労も取れてくる気がするから、源泉掛け流しってやつはすごい。
「そう言わず、落ち着いた頃に顔を出してやったらどうだ?大歓迎されるだろうな。」
「リュウ、意地悪言ってるでしょう?」
「まあな。」
認めるんかい。
いやでも本当に行きにくいよありゃ。ポルカにまたキラッキラした瞳で見られるんだろうなあ。
「疲れたなら、明日から暫く休むか?動き通しだろう。」
「いや、明日はとうとうあのお方をお迎えに行かねばならぬ。」
「あのお方?」
「お蚕様、カイコドーン様だよ!!クワの葉も大きな小屋にたくさん植えられたし、もう育ったし、結構な数収穫したし!今がその時だよ!」
マイホームに栽培で育てた植物や薬草は、もうほとんど育っている。果樹が半分といったところ。栽培がチートスキルなのはポルカの村でわかってたけど、今日帰ってきたらほとんど出来ていたからかなり驚いた。
全部収穫して種を植え付け、水やりまで行ったことも、疲労の一つの要因でもあった。
「服をつくる魔物だったか?」
「正確には糸だけど、収納したら布になるかもしれない。」
万能だからなー、収納魔法。
「場所はわかっているのか?」
「うん、服屋さんがこっそり教えてくれたから。明日はリュウも一緒に行ってくれる?」
「勿論だ。」
そんな会話をしながら、夜は更けていった。
ー翌日。
「よし、じゃあ王都の北の森の洞窟までレッツゴー!」
「昨日言ってたカイコドーンか。」
「イエス!じゃあ王都まで転移するから掴まっててねー転移!」
王都の北の門まで転移すると、目の前には広大な森が広がっていた。
「ここがお蚕様のおわす森でございまする。」
「カイコドーンだな。」
「では、丁重にお迎えにいきましょうか!」
すごく楽しみだ!
野を駆け草を分け、道中魔物をちょろっと倒しつつ、やって来ました、お蚕様の洞窟ですよ!
「いざゆかん!お蚕さ「うわあああああ!」...何事?」
冒険者っぽい人が何人か、慌てて洞窟から出てきた。
「どうかしたんですか?」
「クイーンカイコドーンが現れたのよ!」
「クイーンカイコドーン?」
何でも服屋さんの依頼でカイコドーンの紡ぐ糸を取りにきた冒険者たちは、はじめは順調だったのだが、急にカイコドーンがいなくなり、奥に進むとクイーンカイコドーンがいたらしい。
クイーンカイコドーンは、カイコドーンとは違い、気性が荒く、人間などの生き物を襲い、たくさんのカイコドーンを産むということだった。
クイーンカイコドーンの紡ぐ糸は凄まじく綺麗で強靭で、非常に高値で取引されているが、その糸に捕まって捕食される危険性の方が高いとのこと。
日本のお蚕様は成虫になって子どもを産めば死んでしまうし、糸も吐かないけど。そこは異世界。逞しいなクイーンカイコドーン。
クイーンカイコドーンが見つかった時は、火魔法の使い手を何十人も動員して、一気に焼き払うのだそうだ。それで慌てて出てきたとのことだった。
「あなたたちも今は入らない方がいいわ!私たちはギルドに報告に行くから!それじゃあね!」
「あ、ちょっ!」
冒険者のお姉さんたちはあっという間に見えなくなってしまった。
「どうする?ユカリ。」
「クイーンカイコドーンか。とりあえず行ってみてから考えようか。鉄フル装備で強いリュウもいることだしね。」
「いざという時は、任せろ。」
「任せる。」
という訳で、クイーンカイコドーンのいる洞窟へと2人で進むことになった。
道中、やはりカイコドーンの姿は見えない。皆クイーンカイコドーンの所へ行ったのだろうか。
「分かれ道だね。」
「どっちに行く?」
「待ってて。感知最大、探知。」
洞窟のマップが地図に書き込まれていく。感知にすごい数のカイコドーンらしき生物と、大きなクイーンカイコドーンらしき生物が引っかかった。
カイコドーンは白い青虫というか、芋虫のようなものが巨大化した魔物。
クイーンカイコドーンは、なんというか、白いモス○である。
「ここは右だね。いるよ。カイコドーンもクイーンカイコドーンも、みんな奥だ。」
「心得た。」
その後もマップを頼りにクイーンカイコドーンとカイコドーンのいる場所を目指して進んでいくと。
「ピー!ピー!」
「キシャアアアアアアアアア!!」
クイーンカイコドーンとカイコドーンたちを、見つけた。




