こんなの反則です。
「おい、おい、おい!目を覚ませ!おい!」
頭がぐわんぐわんする。遠いところで誰かがおいおい叫んでる。
「おい!しっかりしろおい!おい!......俺のせいでまた...不幸にしてしまったのか?お願いだ、目を覚ましてくれ...」
段々と意識がはっきりしてくる。リュウ...の声?
「おい!頼む!おい、おい、おい!」
体が揺さぶられまくって気持ちが悪い。
「うみゃーー!揺さぶるな気持ち悪くなる!あとおいおいおいおいおいおいおいおいうるさーい!私の名前はおいじゃなーい!」
重たい瞼を開けて起き上がると、目の前には超絶イケメンが。
サラサラの長い銀髪に美しく均整の取れた褐色の肌色の体。切長で銀色の睫毛の下には吸い込まれそうな青色の瞳。聖なる養殖池に照らされて月のような光が浮かんでいる。
ボンッ! 一瞬で顔が真っ赤になってしまった。
「ガガガ」
「目を覚ましてくれてよかった...!すまない、名前を知らない。」
「ユカリ」
「そうか、ユカリ。本当によかった。無理をしたんだな、ありがとう。本当にありがとう。」
「ドチラサマデスカ」
こんなイケメンに知り合いはいない!リュウはどこへ行ったんだ!
「リュウだ!」
「ウソダ」
脳が思考を停止する。
「鑑定してみればいい。私がリュウだ。」
「カンテイ」
リュウ・ドラゴニア 19歳 男 竜族
状態 健康
《所持スキル》
浄化(8)健康(8)感知(6)
身体強化(8)槍術(7)体術(7)疾走(9)
《潜在スキル》
招福
超竜化
「リュウだーーー!めちゃくちゃ美形!美しい!なんか恥ずかしい!私という存在そのものが恥ずかしい!」
「ユカリ...あなたはまるで物語に出てくる精霊のようだ。強く美しく、私の呪いを解いてくれた。体が軽い。力が湧いてくる。身体中の怪我も、嘘のように消えてしまった。」
「ああうん、呪いも怪我も消えたよ、大丈夫。でもなななんでこんなにイケメンなの!?」
「イケ...?」
「超絶な美形ってこと!」
「ユカリ」
う、うううしろは大木である。運んでくれたのであろう、逃げ道ガガガ。
ドン
「なぜ逃げる」
壁ドーーーン!あ、ちがう、大木ドーーーン!
「はわわ、だって美形すぎて目を合わせられんー!」
顔を90度右に反らせると、リュウはそっと、私の濡れた髪をすくって口付けた。
ぎにゃーーーー!
「な、な、な、な!」
「ユカリ」
「ひゃい!?」
「その態度は少々傷つく。きちんと礼を言いたい。」
「ならば美形をやめてはくれんかね。」
「顔の造形は私にもどうしようもない、慣れろ。」
慣れねーーー!
でもきちんと礼をしたいと言っているのに、この態度は人間として悪い気がして、顔を正面に向ける。
「ご、ごめん。」
「いや?わかってくれたならいい。ユカリ、本当に何度言っても言い尽くせないが、ありがとう。これで私は誰も傷つけることはなくなった。ありがとう、ありがとう...!」
「お、おう。いいってことよ。」
あ、そうだ。
「リュウ、奴隷契約なんだけどさ、なんか呪い解く時に一緒になくなっちゃったんだよね。だからさ。」
助けたいと思ったのは自分のエゴだ。だから、エゴを達成したのだから、その後の人生をどう生きるか決めるのは、リュウなのだ。
「私の奴隷じゃなくなったから、もう自由に生きていいんだよ。どう生きたっていい。どこに行ったって、いい。」
「竜族は。」
「ん?」
リュウが私の前に跪く。
「竜族は一度受けた恩は決して忘れない。この恩は、俺の一生をかけて返す。」
「いやいや重いおもーい、気にしなくていいよ。」
「だめだ。これは譲らない。」
リュウの綺麗な瞳に決意の色が宿る。
「どうしても?」
「ああ。」
「本人がいいって言っても?」
「ああ。」
私は、ふう、とため息をつく。
「じゃあ...こうしよう。リュウが恩を返す返さないに限らず、好きな人ができて、結婚したいって思ったり、自分の領土に帰って家族と暮らしたいって思ったら、終わりにしよう。それまでは、えっと...旅の仲間ってことで。」
「わかった。それでいい。ユカリのそばにいられるならば。」
それと!
「一つだけお願いがある。」
「なんだ?」
「もうめっちゃくちゃ照れるから必要以上に近づかないでーー!」
リュウは、キョトンとしたあと、声を出して笑った。
全くイケメンは、心臓に悪い。勘弁してくれ。




