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リュウ

「ほ、本当かいお嬢ちゃん。じゃあ王立契約書にサインを...」


 私は一通り目を通して、サインをした。


 契約書の内容は簡単に言うとこうだ。


 奴隷は任期を終えたら解放の術式が組まれているので、その後の処遇は奴隷の意思に任せること。雇い続ける場合は、王国民に払う賃金と同様の額を与えること。


 奴隷期間中の、衣食住の責任を持つこと。病気に罹ったり怪我をした場合、その期間の労働はさせないこと。


 奴隷契約の際の奴隷側から出される条件は必ず守ること。


 以上の契約のいずれかを守らなかった場合、奴隷契約魔法がある限り感知できるので、主人に法的罰を与える。


 と、こんな感じだった。


 リュウの奴隷の名前や種族、条件を書く欄には、


 リュウ 19歳 男 竜族

 契約期間 主人の意向で決めて良い

 労働条件 特になし


 おいおいおい、これじゃあ何されてもいいってことになる。王様がせっかく奴隷の人権を守ってくれるために制定した法律の意味がない。


 顔を顰めていると、奴隷商人が、


「捨てたり粗雑に扱うのはできれば勘弁してやってくだせえ。怪我をしたり、変なことが起こったりしたら返品を。受け付けておりますので。」


 とこっそり耳打ちしてくれた。優しい商人さんなんだなあ。


「じゃあ、行こうか、リュウ。あ、年上だから敬語の方がいいですか?」

「主人が奴隷に敬語を使うなどありえないことだ。...それより、本当にいいのか。私は...」

「じゃあ普通に話させてもらうね、リュウ。」

「いやそれより...」

「そうだね、それより早く何とかしよう。こっちにきて。」

  

 一目のつかない裏路地へリュウを連れて行く。


「転移。」


 いざ精霊の森のあの場所へ!





「これは...空間魔法、か?お前、一体...いや、それより、なんで俺を買った!俺は俺だけじゃなく周りも不幸にすると言ったはずだ!聞いてなかったのか!?」

「聞いてたし見たよ。見たからには放っておけなかったし、何とか出来そうだったから連れてきた。」


 リュウは転移のために繋いでた手を振り解く。


「見た?お前、鑑定持ちか?教会の者が私に何の用だ!?」

「なんか色々物知りみたいだから白状するけど、鑑定スキルはもってるけど、教会の人じゃないよ。」

「鑑定スキル持ちなのに、6歳の時の儀式で教会に連れていかれないはずがなかろう!」


 あー、なんかそういう制度とか仕組みがあんのね。じゃあ鑑定持ちなことも今後黙っておいた方がいいな。


「更にさっきのは空間魔法だろう?失われた魔法だ、その昔1人の空間魔法使いが戦況の全てを掌握したと言われる...」


 オッケー、なるべく「転移!」とかも人前では自重する。収納魔法はマジックバッグ、マイホームは人前では開かない、シールドとかはしょうがないから風魔法ウインドの一種の創作魔法とか言っておくことにする!


「随分色々詳しいんだね、リュウ・ドラゴニアさん?」 


 リュウがハッとする。


「見たのか」

「正確には"見えた"。鑑定のスキルレベルが低いから、出身国とか、なんで苗字持ちの、多分貴族とかだろうに、奴隷になったのかとかはわかんない。ドラゴニアって領土も私は知らない。」

「...そうか。」

「でも重い怪我を負っていること、不幸を招くスキルをもっていること、それが呪いのせいだというのはわかる。」


 リュウは、片目でじっと私をみつめる。


「じゃあなんで私を買ったんだ。」

「何とかしたいと思って、何とかできると確信したから。」


 リュウは訝しげに私を見る。


「信じてみてほしい。どちらにしたって、これ以上悪くはならないでしょ?私に身を委ねてみない?」


 私はにっこりと笑って見せる。


「...私のスキルは周りも不幸にするんだぞ。」

「じゃあ不幸になる前に、とっととやっちゃいましょ?」


 ふんっ!と意気込んで、腕をまくってみせると、リュウはふっと口元を緩めた。


「得体の知れないやつだな」

「お互い様でしょ。」

「...よろしく頼む。どんな苦行をも乗り越えて見せる。もう自分のせいで誰かが苦しむのは嫌なんだ。」 

「まかせて。やってみる。」


 私たちは今度は自分たちの意思で手を差し出し合い、握手をした。


 いっちょがんばりますか!

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