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はじめてのお買い物

「さて...」


 ただ今私のギルドカードには、854万飛んで2000ユート入金されてるわけですが...


「買い物にいきますか!!」

 

 各スキルレベル上げに必要な材料が欲しい!


 栽培に必要な種!果樹!芋!株!


 裁縫に必要な糸!布!


 彫金に必要な金銀!金具!宝石!

 

 調合に必要ななんか色々!


 スキルレベルに関係ないけど、料理に使えそうな具材!調味料!


 使えそうなものは何でも買っちゃうぞー!






 ガラガラガラ


「どいたどいたー!新しい奴隷が入荷したよー!美人さんから強いのまで勢揃いだ!この先の広場でオークションを開くからぜひ見に来てくれー!」


 私の目の前を、檻を後ろに繋いだ馬車が何台も通っていく。


 檻の中には人間が乗せられていた。


 どうやらこの世界で奴隷は合法らしい。

 

 何かしらの理由があって奴隷にはなっても、ある程度の人権は認められているのかもしれない。


 その証拠に、服は綺麗だし、ボロ布を着ているような人はいなかった。極端に痩せている人もいないし怪我をしたりしている人も......ん?最後尾の馬車の人だけ様子が違う。


 他の人たちは、檻に数人が一緒に運ばれているのに対して、その人は1人だけ。しかも全身ところどころ怪我をしていた。


 不思議に思って見ていると、その人と目が合う。吸い込まれそうな、深い青。それは深い海のような、遠い夜空のような、とても綺麗な目をしていた。目があった途端、その人は下を向いてしまった。


 なぜかとてもその人の行く末が気になって、オークション会場へと向かう。


「さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!今回も粒揃いだよ!うちは犯罪奴隷や違法奴隷は一切扱わないことが売りだ!!そのかわり、買った人は奴隷の人権を守る王立契約書にちゃーんとサインしておくんな!」


「当たり前だろ」「早くはじめろ」など、やじが飛び交う。


「じゃあはじめは、この娘だ!任期は5年!性行為は残念ながらなし!だが家事はなんでもござれ!どこの屋敷にでも今すぐ奉公へいけるよ!300万ユートからだ!」


 た、高い...!奴隷って高いんだな。

 

 何の為の奴隷で、奴隷だからって何でもしていいってわけじゃなくて任期もちゃんと決まってるっていうのがすごい。この国の王様は、きっといい王様なんだろうな。


 次々と奴隷が売りに出され、買い手がどんどん決まっていく。今のところ1番高い人で2000万ユート、1番安い人が150万ユートだった。1番はじめの女の子は、性行為もなしだったし任期も他の人と比べて短かったから安い方だったのかもしれない。


 とうとう最後の1人、あの人の番になった。今までの奴隷とちがって頭と目に怪我を負っているのか、半分以上顔が隠れていて、容姿も確認することができない。


「あー...こいつはその...見た目はいいし力もあるし...任期はいつまででもいいそうだ。誰かどうだ?」


 店主が先程までの勢いはどこへやら。弱々しく民衆に語りかける。


「奴隷商人の癖に奴隷をちゃんと管理できないのか!」

「怪我してるじゃねえか!王立法に背いてるぞ!なんで治してから出さねえんだ!」

「違法奴隷だ!」


 怒りと中傷の怒号が飛び交う。


「ち、違う!俺だって奴隷商人の端くれだ!ちゃんと治してやってから売りてえ!だがこいつは売れる度に怪我をして返品されてきて...うちに置いとくと更に怪我をしちまうし、他の奴隷も病気になるしわけがわからなくて。しょ、処分しちまいたくて、つい連れてきちまった。誰か、金は1万ユートでもいい。買ってくれねえか...」


「馬鹿野郎」「ふざけるな」と怒号は止まらない。


「だから言っただろう店主。俺などどこぞの山にでも捨てろと。」 

「そ、そういうわけにはいかねえよお!おい誰か!買ってくれねえか!」

「誰も買うな。俺は自分も周りも不幸にする。そういうスキルを持っている。絶対に買うな。俺はもう誰かを不幸にするくらいなら、朽ちていくだけでいいのだ。」


 私はこそっと詳しい鑑定をした。


 リュウ・ドラゴニア 19歳 男 竜族

 状態 重篤な怪我 呪い状態 奴隷契約

 《所持スキル》

 浄化(8)健康(8→1)感知(6)

 身体強化(8)槍術(7)体術(7)疾走(9)

 《潜在スキル》

 招福(呪いにより効果反転)

 超竜化


 なんかつよ!すごくつよ!でも呪いって何?怪我も呪いもマイホームの材料の調合でなんとかなる?

 

 創造知識が最適解を導き出す。


 あ、なるほど。アレがここで役に立つのか。それでこうしてああするのね。


 私はスッと手をあげる。

 

「買います。」


 会場がどよっとざわめく。


 はじめてのお買い物は奴隷でした。

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