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はじまり

「おおおおお!」


 目の前に表示されたステータス画面に、思わず興奮の声が漏れてしまう。


「しーっ...」


 魔物はいないって言ってたけど...


 キョロキョロとあたりを見渡す。


 猛獣がいないと決まったわけではないからね。


 いやでもこれは興奮しても仕方ない。


 これがステータス画面。


 数あるラノベ、漫画、あらゆる転生モノを網羅してきた私の前に現れたそれは、思ったより大きくて、薄い?のかな?電子的な感じで、向こう側が透けている。試しに触れてみたが、何の感触もない。


「えっと......あったあった、説明書。」


 ステータスの説明書という部分に触れると、ブォンという音とともに、スキルポイントの振分方法と全スキルの説明が書かれていた。


「あの人の......ああいや、人ではないのか。とにかく言ってた通りだね。じゅる......おっと興奮して涎が。」


 待ちに待った転生。しかもちゃんと転生特典付き。


 この人生こそ、謳歌してやる!今度こそ!


 




 -ある日の昼下がり。


「転生したい転生したい転生したい。」

(まどか)先輩またそれっすかあ?クレーマー、いや、ご意見のカスタマーのたびに言ってますよね、それ。」


 遠藤円、アラサーの花もはじらう乙女である、彼氏はいない。もう、ずっといない。作れるかってんだ。仕事が恋人みたいなもんだ。


 カスタマーサービスセンター、いわゆる電話やチャットやメールでお客様のサポートをする仕事。


 この仕事が嫌いなわけではない。


 社内での評判だってそこそこだ。


 でもご意見や苦情や問題連絡がきて、謝罪して、あらゆる手を使って、お客様をなだめて......


 しかも昼夜交代制だ。体だって心だってバラバラに壊れていく。


 同期なんて、もうとっくに絶滅している。


 こんな生活がいつまで続くのか。


 エナドリばかりの机に伏せて自分の立場を嘆く。


 それが私の日常だった。


「先輩が転生しちゃったら、この部署回んないんすからね、はい先輩、電話入ってますよー。」

「あーい......」


 ただ電話をとろうとしただけなのに。いつものように。


 覚えてるのはものすごい爆音と、


「先輩!!いやです!死なないで!先輩!」


 という後輩の悲鳴に似た声。


 それが、だんだん、遠くなっていったこと。


 泣くな男だろ、という言葉が、でてこなかった...こと。





 

 次に気がついたのは真っ白な部屋。


 そこには眉目秀麗と言えばいいのか、言葉に言い表せないほどのイケメン...いや美しい人がいた。


 私と目が合うと、とても申し訳なさそうに頭を下げた。


「すみません、遠藤円さん。あなたの人生は、私のミスで予定外の終わりを迎えてしまいました。」

「......」


 想定外のことに頭が追いつかない、後輩はどこへ行ったんだ。


 キョロキョロとあたりを見渡すが何もない。


「何もありませんし、後輩さんもいらっしゃいません。死なせてしまったのはあなただけですから。」


 彼は、神妙な面持ちで、眉根を寄せる。


「私......死んだんですか?」

「はい。」

「でぃす いず 天国?」

「いいえ。」


 地獄にしては綺麗すぎる気もするが。


「天国でも地獄でもありません。あなたの魂をお連れしたこの場所は、今の地球人類の言葉で当てはまる場所はありません。どこでもないどこかだとでも思っておいて下さい。」

「はあ...」


 彼はもう一度ゆっくりと頭を下げ、真っ直ぐにこちらを見る。


「遠藤円さん、改めて謝罪いたします。あなたは、本来ならもっともっと生きられるはずだった。その運命を私のミスで狂わせ、死なせてしまいました。本当に謝って済むものではありませんが、本当に申し訳ありません。」

「......マジなんですね。」

「マジです。」


 その後色々と話を聞いたが、あのものすごい爆音は、異次元との境がどうたらこうたらで、修正しようとしたけど間に合わなくて、助けようとしたけど、まあどうしようもなかった的な話だった。


 どうでもいいかもしれんけど、異次元とかマジであるんだな。


「はい。」


 あ、心の中読める感じなのね、じゃあ神様か。


「地球人類が崇拝してる対象は私と言って差し支えないかと。神様とは正確には違いますが、言語化は難しいですね。」


 なるほどなるほど。


「えーと、神様って呼んでもいいですか?」

「はい、差し支えありません。」

「神様、もしかしてこれは、異世界転生チャンスというやつですか?」

「はい?異世界転生......ちょっと失礼しますね。」


 私の頭に手を当て、ふむ、なるほど、ああ、など言ってる様子から私の頭の中を見られているのがわかる。


 恥ずかしいところは見ないでね?マジでね?


「......はい、わかりました。なるほど、異世界に新たな魂として生まれ変わる。しかも何かしら私からお詫びのサービスがある。そのような地球の輪廻の輪から外れた転生のことなのですね。」

「はい!」

「今回のお詫びとして、来世は何の苦労もない、たくさんの良縁に恵まれた、お金持ちで、しかも温かい家族の待望の赤ちゃんとして生まれ変わらせようと思っていましたが......その、異世界転生というのでは、私からのお詫びのサービスに力を使い果たしてしまうので、そのような生活はできません。それでもいいのですか?」

「はい!ぜひ!」


 おおおおお!もしかしなくとも待望の異世界転生キタコレーーーー!

初投稿緊張します。よろしくお願いします。

ちなみにある程度まで書き溜めてから続きを投稿します。

見切り発車、ダメ、絶対。

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