第五話 ビューティーアンドザビースト
バザーの結果を受け教会の方も青年会に関して、良い印象を受けた信者もいれば未だに悪い印象の信者もいる状態となった。
松が峰教会を運営している長年から通っている信者の大半は旧青年会の出身であり、その方面からは好意的だった。反感を抱く信者は元々松が峰教会の出身ではなく、近年他の教会から転籍した者や他宗教から松が峰教会に籍を置く者が反旗を掲げていたのだった。
青年会のイベント募集用紙を教会の掲示板に貼ろうものなら、何者かが募集用紙を剥がす事がしばしば見受けられる状態が続いていた。
その様な均衡を打破すべく新たなイベントが打ち出されたのであった。
県内の教会合同企画として、足利教会で青年達が集まり大きな交流を目指そうというものだった。
浦和教会、所沢教会からそれぞれ一人ずつ代表で来てもらいアドバイスを受け、準備を進めて行くこととなった。
カクテル無償提供や青年向けの自己紹介ゲームなど企画を考えるだけでも思わず楽しくワクワクしてしまうイベントだらけであった。
県内の各教会に案内を発信し、連絡を受けた信者達からは好意的に賛同する人が多くより期待に胸を膨らませる結果となった。
更に県内の教会は未発掘の外国人の青年達もいると情報があり、松が峰教会青年会の大きな飛躍になると自負していた。
が、現実としてはとても惨劇に近い事になった。
当日に費用を回収するという事で参加者の人数を把握しないまま当日を迎えたのだが、イベントを企画した青年が4人、県内の教会からの参加者は0人だった。
期待を大きく裏切った形となった。
青年自身も落胆するだけでなく、他の教会への信頼も失っていってしまった。