第三話 ホールニューワールド
バザーに向けて着々と準備は進んでいくのであった。買出しに行く人数は少ないものの各々はどういうテーマでお化け屋敷を仕上げていくか、ゲームコーナーでは前回と同じ様な流れにしながらも新しく生まれ変わりを図り、今までには無い催し物で幼稚園生や小学生達に楽しい思い出を作れる様なイベント作りに尽力するのだった。
今までのお化け屋敷といえば最初こそほんのり怖いが、途中から小学生でもこんなものかと見くびられてしまうのが恒例となっていた。
そこで今までのお化け屋敷とは全く違うテーマで練り直す事になった。
日本古来から伝わる四谷怪談や耳嚢、現代に伝わる学校の怪談に都市伝説のエッセンスを交え、お化け屋敷に入るのも足が進まなければ入った後も夢に出てくる様な恐怖、戦慄、そして虚構三つの言葉を軸に見直す事になった。
青年会は教会の力関係で言えば、決して上位のクラスに位置付けられる立場ではない。
青年達が毎週必ずほぼ全員ミサに預かっていれば話は別だ。
ただ青年も教会の優先順位は他の年代と異なるのも事実だ。
今までは教会にお伺いをたてる様な感じで嫌われない様にと守りに守った青年会だった。
しかし、一回死に葬られ復活した松が峰青年会は並大抵の事では挫けないし、くたばる事を知らないのだった。
バザー前日の土曜日、星乃珈琲店で彦星コーヒーを嗜みながら、青年達は会話が弾んだ。
TKMは目をキラキラさせながら、俺達は明日を持って松が峰青年会を復活させ、ゲームコーナーとお化け屋敷において今までに無い仕上げに仕上げた催し物で歴代売り上げNo.1を目指していこう!
他の青年達も笑みを浮かべながら、静かに頷き闘志を胸に粗熱が取れ、うっすら酸味が出始めた彦星コーナーを啜るのであった。
教会へと戻りゲームコーナー、お化け屋敷と別れて手際よく作業を進めていった。
お化け屋敷総括総合管理はMidori。
ゲームコーナー遊戯運営管轄総統にTKM。
二人の的確な指示でその日に始めた準備は夜九時半頃にピリオドが打たれたのであった。