3/開発の経緯
思い通りにいかない事その3。
自分なりの執筆コンディションが万全でも、
上手い言葉が出てこない時。
単調な、似た言葉が多く出てきた時に筆を止めます(苦笑)
コーヒー飲んでリラックス。
また散歩しながら構想。
まぁ色々です(笑)
●研究室(という名の自室)
『そういえば、メガネさん。なぜ私は作られたのですか?』
唐突な、人工知能の質問。
研究者改め、メガネは片付けをしていた手を止める。
「よくぞ聞いてくれた、我が最高傑作よ。お前には1つの野望を叶えてもらいたいんだ!」
野望ですか、と少女の映像が首を傾げる。
「そうさッ! お前が生まれた理由は、人気アイドル”レモンスカッシュ”飯嶋ソエギちゃんのボディガードをしてもらいたいからだ!!」
昨今、巷で人気急上昇中のアイドル。
”レモンスカッシュ”と銘打った3人のアイドルユニットである。
その1人である、飯嶋ソエギ。
彼女に付きまとう悪質なファンやストーカーから、彼女を護衛する事。
――それが、独立型人工知能試作103号の存在理由である。
人間では、様々な限界がある。
例えば、24時間の厳戒態勢でソエギを守る事はできない。
実際に人間が護衛すれば、逆に不審者と受け取られかねない。
しかし、人間以外に護衛を任せればどうだろうか。
まるでロボットのように、休息もいらず。
付きまとう事も気づかれない、電脳の存在。
「そうッ! お前なら電脳の海を掻い潜り、なおかつ操る事も容易い! 最高の人工知能にして、最高のボディガードなんだッ!!」
『で。その本心は?』
「いやぁ~この間、芸能雑誌にストーカーに困ってるって話題になってたからここでイイ恰好見せれば特別なファンとして認知してくれるかなぁ~って……」
『わかりました。今度から貴方を”きもメガネ”と呼ぶようにします』
×××× ×××× ××××
『――で。結局、私はその飯嶋ソエギを護衛すればいいのですか?』
「はい、そうです。お願いします」
計2時間ほどかけて綺麗にした床と室内。
そして、土下座を強要されるメガネ。
目線の少し上、机上のモニター画面。
感情をインプットしたつもりはないが、どうにも眉をひそめた様子。
人工知能と、メガネ。
絵面的には、母親が息子を叱っているようだ。
『………………』
人工知能の返事がない。
毒舌ぎみに、罵られると思ったが静かのままだ。
すると、ため息のような吐息が漏れる。
断っておくが、そんな機能をつけた記憶はない。
『メガネさん、貴方は私の創造主。神に近しい存在を無碍にできるわけがありません。その使命、見事に達成してみせましょう』
「……ありがとう。ちなみに、なんだけどさ……」
『はい、なんでしょう?』
「なぜ自分はこうして土下座をさせられているのでしょうか?」
『それは、貴方が”きもメガネ”だからです』
「あの、理由になってないし……それって悪口じゃ……」
『まぁ貴方が飯嶋ソエギに熱心な事はコレらが証明していますが……』
「だからその人の話を……」
突然、人工知能の姿が消える。
代わりに映った映像は、飯嶋ソエギの水着写真だった。
『電子書籍は管理も手軽で便利ですね。水着写真集もかさばらず、汚れる事もないです」
部屋の壁に貼ってある、ポスターと同じポージング。
メガネの中で、好きなポージングベスト3に入る。
『飯嶋ソエギが出している音楽関係は全て網羅。プレイリストなんか数えきれないほどあります』
と、軽快な伴奏が流れる。
開始3秒で、曲のタイトルがわかった。
去年の夏に発売したタイトル”恋とロマンスは炭酸水♪”のそれだ。
『それに推しのアイドルが、追っかけである自分に振り向いてくれる事を願う。まさにロマンスじゃありませんか』
「……勝手に人のパソコンの中身を勝手に見ないでもらえるかな?」
この人工知能と付き合っていく中で、自分にはプライバシーなどないのだろう。
あまつさえ、この主人を小馬鹿にする知能にはこれからも手を焼きそうだ。
そう諦観したメガネであった。
読了、ありがとうございます。
頭の先から、つま先までコメディタッチを心がけましたが……
脱線多く卑猥あり、シリアスありでお届けしていきます。
生暖かく見守っていてください。