アリの行列
6月下旬の昼下がり。
少しだけ深い山の中、乾いた地面をアリが行く。
高速道路の車のように、並んでスイスイ進んでいく。
おや?
アリ道の先に、落ち葉があるぞ!
アリさんちょっと困っちゃう
枯れ葉の上に登るアリ、枯れ葉の下をくぐるアリ、枯れ葉の横を歩くアリ。
いろんな道があるね。
枯葉
今度はアリ道に、木の枝が横たわっているぞ!
高速道路に巨木が横たわる。そんなイメージだ。
アリさんちょっと困っちゃう。
木の枝の上に登るアリ、枝の下を掘り進むアリ、大きく迂回するアリ。
色んな道があるけれど、乗り越えるのが近道かもね。
枝
枝
枝
枝
枝
枝
枝
枝
アリは進む。順調に歩く。
時々、対向車とごっつんこ。道を開けたり、過剰にビビったり、偉そうにしたり。やっぱりみんな個性的。
ブゥゥゥゥゥゥン ブゥゥゥゥゥゥン
キキィィィィィィ!!!!!!!!
クモだ!
爆走クモだ!!
まるで暴走トラックのごとく、行列に向かって一直線!
ドカァァァァァァン!!!!!
クモはそのまま遥か彼方へ。
アリさん数匹が弾き飛ばされてしまった。
弾かれたアリはほとんど行列に戻る、1匹はぐれてしまったようだ
はぐれアリは少し高い砂山に登る。
そこから行列を眺める。
行列の全体像を、初めて見る。
遥か遠くの地平から、遥か遠くの森の中まで。
黒い行列は続く。
はぐれアリさん少し怖くなった。
自分の道を探すため、道なき道へ、消えていく。