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心から
7.夜の電話
楽しい一日が終わってしまうと、寂しい夜に襲われる。つい先程まで傍にあった温もりが恋しくて、きゅっと枕を抱きしめた。
その時、不意に鳴る着信音。
「もしもし?」
聞こえてきたのは、愛しい人の声。
「どうしたの?」
「寂しがってるかなって思って」
見透かしたような悪戯な笑みが、嫌いだけど好きだ。
8.狂乱
連絡が途絶えた夜は、今何をしてるんだろうと不安になってしまう。
私に見せる優しさを他の誰かに見せてるんだろうか。私の耳元で囁くあの声を、他の誰かに聞かせてるんだろうか。
私だけだと思っていた彼を、他の誰かが知っているんだろうか。
「——、」
囁いた彼の名は、1人の部屋に響いて消えた。