白川夜船の段 1
こんにちは、風也です。
高校に入ってから、毎日銭湯に通うほどのお風呂好きになりました。
早速詰んでしまった俺はどうするか考える。
思い出せ、いつも困った時はどうしてた?思い出せ、説明書も攻略法もない時はどうやって調べた?思い出せ、思い出せ…。
「クリシス!」
「お呼びでしょうか、風也様。」
「自分用の家を建てたいんだけど、どうすれば良い?」
「『制作』の『GM』から『MH』を制作してください。」
クリシスに言われた通りに『MH』の欄を見る。必要MPは20ポイントと少し高いが、クリシスの言う事なら間違い無いはず。
俺は決定ボタンを押して、一階建ての家を創った。
「これで良いのか?」
「はい、お疲れ様です。では中に入ってください。」
クリシスに言われるがままに中に入る。
家具は何も無く、ただの広間と部屋が二つほどだ。
「それでは、『MH』においての家具の制作についてご説明させて頂きます。『MH』の家具は1日3個まで制作できます。また、『MH』の家具は制作にMPを必要としません。気兼ね無く創って頂けます。『MH』の家具もレベルが上がるとより良いものになります。」
おぉ!マジか!さっき『建物』と『寝具』でかなりの精神的ダメージを受けたのでありがたい。
「以上で説明を終わります。何かご質問はありますか?」
「クリシスを一般人サイズにして常設する方法とかあったりする?」
「レベルが上がると『項目作成』という『制作』内に新たな選択肢を創る機能が手に入ります。それを使えば可能です。」
項目作成なんてものもあるのか!本当に自由だな。
「『項目作成』で創った項目に必要なMPは、その項目の能力によって決まりますので、MPが少ない状態で強力な項目を創っても使えない場合がございますのでご注意ください。」
「なるほど。」
「ところで、なぜ私を常設したいのですか?」
「一人だと寂しいし、お前、あれだろ?俺の好みが反映されてるんだろ?見た目といい、声といい、俺の好みにはドストライクなんだよ。性格はまだわからないけど。」
「…流石です、世界神様。私の本質を見抜いてしまうとは。」
「で、お前的にはどうなの?俺と一緒に暮らすのは。」
性格まで俺の好みならここで…
「え⁉私ですか⁉私は、その、勿論、世界神様と1つ屋根の下で暮らすのは嬉しいですけど、その、あの…」
うむ。やっぱり。恥ずかしがりながら早口で本音を言うも恥ずかしさが勝って尻すぼみにうやむやにしたか。
ひとまず、クリシスという《ヘルプ機能》のおかげでなんとか家を獲得した。
さて、今日はこの家をどうするか考える。
この広間はLDKにしよう。ダイニングキッチンにすれば可能なはずだ。部屋の小さい方は寝室にしよう。シングルベッドなら二つは入る大きさなので、もしクリシスを実体化しても寝る場所には困らない。
という訳でまず寝室にベッドを創る。どこに創るかは地図で指定できる仕掛けになっていた。MHは目の前に出てきたんだけどな…。
さて、問題はもう1つの部屋とお風呂場だ。もう1つの部屋は単純に使い道が無い。お風呂場は必要だが存在しない。
制作欄を何となくスクロールしてみる。
おっ、『部屋増設』もMP無しでできるのか。浴室はあるのかな…おぉ、あった。
部屋の増設には廊下増設も含まれている。廊下は繋げる部屋を既存の部屋から選択する事で増設できる。特に何も考えずに空き部屋の隣に増設し空き部屋に廊下を繋いだ。
見に行ってみると、先程まで壁だった所に新しく廊下が繋がっていて、その先に浴槽もシャワーも無いただの浴室ができていた。本当に部屋だけなのか。
浴室の壁にシャワーを設置する。シャワーとボイラーがセットだったのかボイラーが家の外に設置された。空き部屋はちょっと大きい脱衣室として使おう。
これで本日の3つの作成は終了した。と、突然、激しい倦怠感に襲われて少し焦る。ベッドも創った事だし、一旦寝よう。
安眠の地を獲得して安心した俺は仮眠を取った。