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「―――そう。残念だったわね」
静寂に満ちた部屋の中。
広い部屋はすべて白と黒で統一され、床はチェスの盤を思わせる市松模様になっていた。調度品の類はどれも高級でかなりの目利きがそろえたものらしい。
その上質な空間に一人の少女がいた。
黒いベールに隠れて顔は見えない。アンティーク調の椅子にかけた少女は遠くにいる配下と通信していた。相手の声はあのイプシロンだった。
『……このような結果となり、誠に申し訳ございません!言い訳のしようもないのはわかっております。ですが、どうか、どうかお許しを』
彼女の口調はやけにびくついていた。
「いいのよ。気にしないでちょうだい。このゲームはまだ始まったばかりなんだから…」
黒いベールの少女はふわりと笑った。美しい声。
その声は、英麻が中学受験の記憶を見せられた時に聞こえた、あの声とまったく同じだった。




