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時空。
過去と未来、そして現在を結ぶ場所。
二千二百年代の未来人によって発見された時空は空に似ていた。
無限に広がる青い空間。時々、綿をちぎったような形の雲が見える。
その青の中に一本の道が浮かんでいる。どこまでも続く一直線の道。未来人たちが時空を整備するために造り出したクロノロジーランウェイだ。そこには大きな文字がいくつも光り、道全体をあるエリアごとに分けていた。
クロノロジーランウェイの上をたくさんの白いものが漂っていく。
十二枚の白い羽根。
この白い鳥の羽根に似たものは本来、タイムパトロール本部のセキュリティーセンター内にある時空保全室に安置されていなければならないものだった。
通称、時の花びら。
未来人たちにとって極めて重要な、時空を守るための道具である。
前方に激しい突風が現れた。時空乱流。時空の中に吹きつける強力な風だ。
時の花びらは時空乱流にぶつかり、大きくうねった。十二枚の花びらは散り散りになる。ぶわっと舞い上がり、そのまま、クロノロジーランウェイに吸い寄せられていく。
時の花びらが次々と消え始めた。恐ろしい速さでクロノロジーランウェイに飛び込んでいるのだ。
NARA、HEIAN、SENGOKU、EDO……
そんなふうに表示されたエリアに花びらはバラバラに飛び込んでいく。
そのうちの一枚。さらに時空乱流にあおられ、大きく舞い上がった時の花びらもまた、勢いよくあるエリアに飛び込んだ。
そのエリアにはこんな文字が光っていた。
YAYOI