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時空守護士タイムアテンダント  1 巫女と女王の願い  作者: 夜湖
第三章 太古の森で
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――…英麻チャーン…英麻チャーン……


声が聞こえる。小さな子供みたいな声。どこかで聞いた声。

――…英麻チャン、起きるんダヨウ~…

そう、ほんのちょっと前に聞いた声だ。この声を聞いたすぐ後、とんでもないことが起こった気がする。一体、何だっけ。

ぷかりと意識が浮き上がってくる。

英麻はゆっくり目を開けた。目の前にピンク色の物体が貼りついている。

「キャッ」

「わああっ!」

身を起こしたのと同時に、顔の上から丸っこいものが転げ落ちた。小さな子ブタのぬいぐるみ。英麻は一気に目が覚めた。

「あーっ!?あんた、ファンタジードームにいた変な子ブタ!」

「違うヨウ。ニコは子ブタじゃなくて型のアシスタントロボットなんダヨ。正式名称はニコ777!」

「にことりぷるせぶん?それがあんたの名前なの?」

「そうダヨッ!さっ、まずはこれを食べるんダヨ」

ニコ777と名乗った子ブタは英麻の口に珍しい模様の赤い玉を放り込んだ。

「ちょっと今度は何するっ――…あれ、おいしい」

子ブタが投げ入れたのはいちご味の丸いキャンディだった。いちごの甘さが口中に広がっていく。ひとなめしただけで、口や喉、それになぜか耳までもがすっきり冴えた気分になった。英麻はおとなしくキャンディをなめつつ、辺りを見回した。

そこは見知らぬ森の中だった。

英麻は空色の飛行機に座ったまま気を失っていたらしい。子ブタがぴょんとジャンプして飛行機の翼に着地した。卵型に近いピンクの体。四本の短い足。ビーズのような真っ黒い目。濃いピンクの耳と鼻に、くるんと巻いたしっぽ。胴体とほとんど一緒になった首には細い青色の首輪がついていた。

その見た目といい、柔らかな動きといい、まったくロボットには見えない。まるでぬいぐるみに命が宿っているみたいだ。

「ニコは未来の科学が誇るスーパーアシスタントロボットなんだからネ。そこいらのロボットとはわけが違うんダヨ」

子ブタはカタコトの日本語のような話し方をする。

「生みの親はパパアことヤマグチコウノスケ技官。タイムパトロール付きのアシスタントロボットの中で唯一、過去や時空での活動が可能な、キュートな第8部隊のアイドル…って、アレレ?英麻チャン、どこ行っちゃうのヨーッ!?」

ニコ777が気がついた時にはもう遅く、英麻は飛行機から離れて森の奥へと向かう小さな点になっていた。

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