小話:其の四拾七《笑い話(仮題)》
【“笑”と受け取るかは――】
《笑い話(仮題)》
とある会議室に、複数の人影がありました。
そこでは“*****・ b ”と“*****・ c ”の“ありかた”に関する話し合いがなされていました。
「“*****・ a ”に対する“理解/解釈”は個々人それぞれ多様にありますが」
ひとりのヒトが、至極真面目に述べます。会議室にある複数の人影は、それを吟味するヒトの顔で拝聴していました。
「“*****・ b ”と“*****・ c ”に対する“理解/解釈”は誰にとっても同一の“それ”しかなく――」
「ぷっ! ははははははははは――――っ」
至極真面目なこの場において、とても不謹慎と思われる笑い声が、話をさえぎりました。
「なっ! ヒトが真面目に話しているときに、失礼じゃないかっ!」
意を述べていたヒトが、当然のように怒りを示し、謝罪を要求しました。
「いやー、はっはー」
笑い声を上げたヒトは悪びれたふうもなく、向けられた怒りを受け流して、
「あなたのご発言は、他の方々には“*****・ b ”と“*****・ c ”のように同一の“真面目な話”として“理解/解釈”されたのかもしれませんが、――いや、どうにも私には“笑い話”に“理解/解釈”できてしまいまして。いやいやご気分を害されたようでしたら申し訳ない」
笑った顔で、けれど音声はそれに反して至極真面目に述べます。
「しかし、“ひとつ”、これで私は気が付けましたよ。そしてあなたも、お気づきになられたでしょう?」
「…………なにをです?」
「ヒトの“理解/解釈”に“絶対的な同一/完全な一致”なんてない、と」