小話:其の弐拾四《ひとつの長くて短い物語(仮題)》
【“つづく”で終わる世界一の物語】
《ひとつの長くて短い物語(仮題)》
【注:この物語を読む前に】
まず、深呼吸をしましょう。
次に、胸に手をあててみましょう。
そしてゆっくりと目をつむって、いまこの瞬間に至るまでの“自分/思い出/過去”を思い起こしてみましょう。
思い起こせましたか?
昨日の夜になにを食べたか、答えられますか?
そうですか。
それでは準備万端のようですので、どうぞごゆっくり物語をお楽しみください。
《ひとつの長くて短い物語(仮題)》
とても唐突で恐縮ですが、あなたは“作家”です。この物語の。
そういう呪いだと思ってください。すみません。
でも呪いは解けません。てへ♪
…………すみません。ごめんなさい。
でも呪いは解けませ――
* * *
“「この書き手と、物語を信用しなさい」
そして、何よりも、読み手としてのあなた自身の感覚を信用した方がいい。この物語は、それにふさわしいものを与えてくれる。”
『マルドゥック・スクランブル The Second Combustion――燃焼』
著 冲方 丁
SF評論家 鏡 明 による“解説”より抜粋
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そして、“あなた”は産まれました。ここにいることを宣言するように、産声を上げました。
【中略/思い起こしたことを書き込んでください】
――そして、“あなた”はこの話を読みました。
つづく
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参考資料
あなたが誕生した日に、あなたを産んだヒトが、あなたへ贈った、“長くて短い物語/最初の誕生日プレゼント”の一部。
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誰だって産まれて“自分”を認識した日から、
とても優秀な作家であり脚本家であり演出家であり役者であり、
とても厳格な読者であり視聴者であり観覧者であり批評家である。
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“事実は小説より奇なり”
イギリスの詩人 ジョージ・ゴードン・バイロンの言葉