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小話:其の壱百壱《とうめい(仮題)》

【問題は“答え”か“問い”か、それとも】

《とうめい(仮題)》


 とある時代の、とある国の、とある町の、とある学校の職員室で、

「なあ、どうしてキミは、こんなことを書いたんだ?」

 その教師は、呼び出した教え子の男の子にそう訊きました。この子が他の子より遅れて提出してきたプリントに書かれてあったことの意が、いまいちわからなかったのです。

「どうして?」

 教え子の男の子は、キョトンとして訊き返しました。なにを訊かれているのかが、わからなかったのです。

「他の子は“やりたいこと”を書いているのに、キミは“いまなってみて思うのは、ありのままの姿を見てほしいということです”って書いただろう? その理由を教えて欲しいんだ」

 その教師は、呼び出した教え子のモノと、他の子の複数のプリントを見せて言いました。

 プリントには、卒業文集に載せるための“生徒に対する質問”が書かれてありました。

 透明人間になったら“なにを”おこないたいか? という質問です。

「えー、だってー」

 教え子の男の子は少し面倒くさそうにしつつ、

「なにを書けばいいか、とくに思いつかなかったから、他のヤツにどんなことを書いたのか聞いてみたんだけど」

 職員室の時計を見やって休み時間の残りを気にしながら、

「本当に“やりたいこと”を書いたら、先生に“キミたちのやりたいことは犯罪行為だからダメだ、書き直せ”って言われて、書き直すはめになったって言ってたから」

 自らの意を、ウソ偽りなく述べます。

「正直に書いても、どうせ先生たちの“好きな正しいヤツ”に書き直すことになるんだもの。先生たちには、“ボクらの姿”なんて見えていないんでしょう?」

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