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本音が漏れる
ガラにもないなって、思うけれど。今日の気分に合わせてチョイスをしようとして――手が止まる。
どうしたら、あの先輩は喜んでくれるだろうか、とか。目一杯、背伸びして可愛いねって言ってもらいたいとか、そんな欲ばかり溢れてきて。でも、あの人はきっと、どんな服を選んでも、なかなか言葉にしてくれない。それは分かっているのに。
その目に、私だけを留めさせたいって思って――なんて、ワガママなんだと思う。
待ち合わせた公園で、彼は呆けた顔で私を見る。
「先輩? おかしい?」
結局、代り映えしなくて自己嫌悪だった。
「いや……可愛すぎて」
「え?」
今度は私の頬が熱くなる番で。今日だけ、そんな風に言うのズルイ――
第70回Twitter300字SS参加作品。
テーマ「服」でした。