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未来への架け橋
「この橋を工事する時は大変だったよ」
老婆は目を細めて言う。大河に橋をかけるなど狂気の沙汰と、誰もが否定した。だが時の王子は、断固決断したのだ。
橋がなければ、渡し船が今でも続いていただろう。ただし、岩礁が多く船の沈没は珍しい話しではなかった。
10年かけて橋ができた。その途中で幾度と崩落事故や大雨で、工事が中断した。
それでも諦めなかったのは、国民達で。王子と民はあの時、確かに一つになったのだ。
橋から見る大河は、夕陽を映し穏やかで。
「未来への架け橋が必要だって、あの時君は言ったよね」
微笑むの相方を見やりながら、かつての王子は小さく頷く。こんな景色が見れるなら悪くない。
第66回Twitter300字SS
テーマ「橋」でした。




