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これは余っただけなんだ、本当なんだ
これはたくさん作りすぎただけなんだ。何度目かの言葉を口にして。まるで自分に言い訳しているみたいで。彼と一緒にお昼ご飯を食べたい。それだけのことなのに、大人げなくはしゃいで――今になって、冷静になった。
手作り弁当なんて、重たすぎるじゃないか。
「先輩?」
「あ、わ、わ」
どうして、こういう時に限って、君は早く気付く!
「お弁当、あ、俺の分作ってくれたんですか!」
大きな声を出すな、はずかしい。
「あ、作りすぎたから。余っただけ、それだけだ」
周囲、微笑ましそうに笑うな。
「先輩の手作り、すげぇ嬉しい。一緒に食べましょう。ね?」
君はそうやって、私が越えられない一線を飛び越えてくるから――キライなんだ。
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テーマ「余る」でした。




