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邂逅
接点はともに研究開発されたサンプルというだけだ。戦闘特化型サンプルをアシストする支援型サンプル。異なる生体兵器を、同じロードマップの中でリンクさせていく発想は斬新だが、正直興味が無かった。開発者がそうしたければそうすれば良い。サンプルに拒否権はない。
「……」
でもこの戦闘型サンプルは、泣いてばかりで。こんな子とリンクすることを思うと嫌気がさす。彼女はお父さんが、お母さんが――と言葉にならない言葉ばかり。どうしていいか分からず、俺はこの子の手を握るしかなかった。
(接続する為に仕方なく)
興味なんかないはずなのに――泣かないで欲しい、笑って欲しいと、と思ってしまうのはどうしてだったんだろうか?
第55回Twitter300字SS参加作品予定でしたが、この作品は出品せず。
テーマ「あう」でした。




