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スケッチブック・無自覚・ラブレター
スケッチブックに想いのままにクレパスで彩る。何を描こうなんて、特に考えていない。時には猫だったり、甲冑の騎士だったり、男の子だったりする。いつも、一人でいる時は絵本に想いを馳せていた。
「ふーん」
と覗き込んだトモダチが言う。心の準備なく、自分の絵を見られるのは、何だかくすぐったい。
「ひなたが描く男の子ってさ、水原君にそっくりだよね」
言われて、え? と思う。そう思った瞬間に顔が熱い。慌てて、スケッチブックを閉める。
「ま、た上手くなったらみせる、から、見せるから!」
言葉になっていないが、それどころじゃない。