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火焔の少女
研究サンプルとして生まれた私の能力は発火能力だった。当時の私は、力の制御ができず感情的になると、すぐに炎が燃え上がった。
だから決めたのだ、怒らない、泣かない、喜ばないと。
だって私が、貴方を焼いてしまったのだから。
「まだ、そんなことを思ってるの?」
彼は変わらない顔で、微笑む。暖かい炎に薪を加えながら、火を囲むみんなの顔が笑顔で。
どうして、そんな顔をするの? 私が貴方を焼いたのに。
「そんなの、ひなたが大切だからに決まってるじゃん」
恥ずかしげもなく言う。
でも――私をライター代わりにしていい理由にならない。
「怒るなって、ごめん」
ゆ・る・さ・な・い!
第28回Twitter300字SS参加作品でした。テーマは「火・炎」