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君の色
「どの色がいいかなぁ」
ニコニコ顔で言う。憧れていた先輩とのデートらしいが、デートで着る服の相談ぐらい、女子としろと思う。
そう言うと、男子視点での評価が欲しいからよ、と楽し気に笑う。
思わず僕が指をさしたのは真っ白なワンピースで。
「へぇ、こういうのが好みなんだね」
好みも何も、君が好きな色だから。
「デート楽しんでおいで」
我ながら作り笑いが上手くなったと思う。
真っ白なワンピースを着た彼女が目の前にいて唖然とする。
「デートは?」
「片思いの人がね、気を引いても、一向に鈍感な人だったからね、しびれを切らしたのでした」
ニッコリ笑って、僕の言葉を待つつもりらしい。
答えも何も――ずっと前から、君色に染まっている。
Twitter300字SS参加作品。
今回のテーマは「色」でした。