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未来を彩る飾り付けを
腫れ物を触るように扱われていた。傀儡の王子だ、情勢が変われば暗殺される。
だから――命を晒すことも厭わずに、市井に出た。案の定、賊が金目当てに取り囲む。きっと、パンをあげた子が僕を売ったのだ。
(のぞむところだ)
と目を閉じると――鋼が衝突する音がして。
(え?)
目をこする。
「パンの恩義に応えなくちゃね」
と細身の剣で、全ての剣を受け止めた少女は小さく笑んだ。
「パン一つで遠いところまで来ちゃったかな」
と彼女は言う。彼女は白金の鎧を、僕は正装で王位継承の儀に挑む。着飾ることは辟易するが、未来を彩る飾り付けは王子にしかできないと君が言った。
その言葉に生かされた――。
(だから、望むところだ)
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テーマ「飾る」でした。