13話 騎士団らしい
父さんと王都に行く約束をしてから一週間がたった...つまり今日だ
「ユーキ、忘れ物はない?ちゃんとお父さんの言う事は聞くのよ?それからほかの人にも礼儀正しく接するのよ?それから...」
な、長い...
「全く心配性だなー、クレナは。俺らの息子だぞ大丈夫だ!」
「そうね!それとユーキ道中、魔物...いえ生き物を殺す事になると思うわ、でも初めてではあまりいい感触はしないわ、いえこれはずっと思ってないといけない事、それだけはどうか忘れないでちょうだい」
「うん!わかったお母さん」
「坊ちゃん、これを貰ってください」
セバスがそう言い黒い布に包んだ何かを渡した
「これは?」
「どうぞお確かめください」
セバスは微笑みながらそう言ったので、布を解き中身を確認した
「これは...」
中から出てきたのはうっすらと黒に輝く、銀色のナイフだった。ただ、重量は手に馴染むほど、程々に重く、強度はとてもそれこそ鉄なんかのりも遥かに硬いということは分かる
「おいおい、これはもしかしたらアダマンタイトか...?」
父さんが驚いたようにそういう
アダマンタイトって、たしか伝説の金属だった気がするんだけど
「そうです。旦那様これは我が家に代々伝わる家宝でございます、材はアダマンタイトで出来ており、作成者は名のあるドワーフと聞き及んでおります」
「いいのか?はっきりいって子供にあげるようなものじゃないぞ?」
うん、そうだよね話聞く限り相当高価だもんねちょっとだれか代わりにもってくれない?怖いんだけど
「構いません、老いぼれにはもう不必要なものですから。坊ちゃんどうか貰ってくださいその方がそのナイフも喜びましょう」
そこまで、言われたら貰わない方が失礼だ
「分かった、大切に使わせてもらいます」
「はい、宜しくお願いします」
そうセバスは言うととても優しい顔になって微笑んだ
「ユーキ様、どうかお怪我がないようお願いします、もしされた場合はこのポーションをお飲みください」
次はハナさんが来てビンに入った青色の液体を渡してきた
「ハナさん、ありがとうございます」
セバスさんやハナさんを筆頭としたメイドのみんな、お母さん、エリスに大きく手を振って行く
「みんな、行ってきます!」
「まずは騎士団のある建物までは馬車で行く」
おお、馬車だ初めて見た凄いな
「騎士団はここから馬車で数分のところにある」
「はい、分かりました」
ユーキたちは馬車に乗り騎士団に向かって行った
「よし、着いたか」
グレンとユーキは馬車から出る
「ここが父さんの仕事場だ!」
そんな事を言って父さんはドヤ顔でこっちを向いてくる、普通むかつくんだろうけど、イケメンがやると様になっている
「すごいです!」
だが、嘘偽りなくたしかに凄いのだ、行き交う人はみな父さんにお辞儀をしてるし、相当な実力者も結構いる、そんな人達に慕われる父さん、たしかに凄い
...そのニヤニヤした顔さえしてなければな
「そうかそうかー、父さんすごいかー」
う、うぜぇ、父さんってこんなだっけか?
ユーキは知りえないことだがグレンはユーキに父さん凄いと言われたがっており、戦技の時などは5歳に教えることではない事までも教えユーキに凄いと言わせたかったが、ユーキは全てを覚えてしまったので結局言わせれなかった
「父さん、そろそろ行きませんか?」
いつまでもここにいるのは人の迷惑だし、なによりうざい
「おっと、そうだなそれじゃ行くか」
「はい!」
ユーキ達は建物の中に入り、第2騎士団と書かれている部屋に入った
「おはようございます!隊長!」
そうハゲの人が言ったあとにみな次々に挨拶をしてくる
全員で8名ほどだ
「おう、おはよう」
「その子が例の?」
そう聞いてきたのは茶髪の女の人だった
「あぁ、そうだ、ユーキ挨拶を」
よし、まず肝心なのは挨拶だ!その人の印象は第一印象で変わるっていうしな
「初めまして、グレン=ペンドラゴンの息子のユーキ=ペンドラゴンと言います!年齢は5歳ですが、それなりに動けると思います。しかし、実際に戦うのは初めてで至らぬ点が多々あると思いますが、どうかご指導のほど宜しくお願いします!」
そう言い深くお辞儀をする...ふんっ、決まったな
ユーキはそろそろかなと思ったタイミングで顔をあげるとみんな絶句していた
あれぇ?なんか間違っちゃったかな?
「ユーキ、いつの間に...」
「隊長!この子すごいですね!本当に5歳児なんですか!」
「あぁ」
「たしかにこの礼儀正しさ、まったく新兵にも見習わせたいですな」
「そうだな」
と、父さんと茶髪の人とハゲの人が話していた
なるほどちょっと年相応ではなかったか...まあ、失礼なのは嫌だし問題ないだろう、きっと...
とユーキは少々やりすぎたかなと思っていた...




