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二話 紅蓮乙女

「ふぅーん、ふーん」


現在思考停止中の滝理です。

どうも、今日はいい天気ですね。

え? なんかおかしいって? そんなわけないじゃないか。


「......やらかした」


はい、おかしかったです。

なんとスラム街と詰め所の場所を聞いていなかったのでわからないという。今更聞きに戻るのもなんだか気がひけるし。


「まあ適当にぶらぶらしてりゃ見つかるか」


ぶーらぶら、市場、広場、裏路地。一通りいろんなところを通ってみたがスラム街が見つからない。

もちろん詰め所もわからない。


「あ」


見つけた。分かりやすく大きく書いてある。


ようこそ! スラム街へ


ふむ、このスラム街のリーダーは馬鹿なのかな。ちょっと俺の知ってるスラム街とかけ離れてる気がする。


「お? 坊主、スラム街になんか用か?」


いきなり声をかけて現れたのは筋骨隆々としたスキンヘッドの男。その隣には眼鏡をくいっと上げながらこちらを見る痩せた男がいた。


「ああ、この辺のことを知りたくて情報収集しようと思っていたんだ」


「ほう、このスラム街で情報収集ですか。なかなか度胸のある少年ですねェ」


「坊主、甘っちょろい気持ちでスラム街に入るつもりならやめとけ。命がいくらあっても足りんぞ」


「え、マジすか」


そんなに危険な場所なの? ひょっとして入った瞬間怪物が襲ってくるレベルでやばいのか。命がいくらあっても足りないなんて......俺無限にあんじゃん。


「おうよ、忠告はしたからな。わかったんならさっさと......」


「お邪魔しまーす」


「えぇ!? あなた今の話聞いてましたァ!?」


「終わったな」


二人組みの男の横を素通りして門をくぐる。後ろでなにか言っているようだが無視してまっすぐ歩いていく。

その時、


「イィヤァッフゥゥゥ!! 血祭りだァ!!」


直剣を持ったトゲ頭の男が門をくぐった途端に襲いかかってきた。

当然躱せるはずもなく。


「ぐふっ......がぁ」


鉄の刃が止まることなく心臓を貫く。

俺はこのままだと死んでしまうだろう。


「命いただくのタノシィッ!!」


さすがスラム街。頭がなかなかクレイジーな連中だ。

ならば、


「お前にやる命なんて......一つもねぇよ」


「ほえ? ぎゃひぃん!」


剣を刺したままでがら空きのトゲ頭の顎に右フックをしかけ、脳震盪を起こさせる。

するとトゲ頭は白目を剥いて倒れ、だらしなく気を失っていた。

まさか日々の練習がこんなところで発揮するとは思わなかった。近接戦なんて魔術師相手になんの役にも立たなかったしな。


「おい、坊主! 大丈夫、じゃなさそうだな。あばよ、名も知らぬ坊主よ」


「えぇ、ご冥福を死神に祈りましょう」


後ろから追いかけてきた二人組みが俺を見て神妙な顔でそんなことを言っていた。

今の俺の状態は剣が心臓に刺さったままで、血を垂れ流している、と言った感じだ。

なるほど、死ぬ間際っぽい。


「禁術・体魂蘇生」


ぐちゅ、という音が鳴った瞬間、刺さっていた剣は霧散し、急速に身体中の血や肉が巻き戻されていく。

全ての工程が終わると、身体は襲われる前の状態まで戻っていた。

それをみた二人組みは呆けたように口を開け、上の空といった感じだ。当然、普通の人間なら確実に死んでいるような傷。目の前で突然全快する様子を見せられれば呆けるのも無理はない。


「あぁ、ちょっとチクっとして痛かったわぁ。本当、今度刺したら容赦しねぇからなトゲ頭野郎」


げしっ、と倒れているトゲ頭を軽く蹴って立ち去ろうとする。が、そこで呼び止められる。


「ねぇ、そこのお兄さん。私とちょっとお話ししない?」


「はい?」


声をかけてきたのは黒衣を纏った銀髪赤目の少女。

ぱっと見、怪しさ満点だ。いや美少女だけども。


「なんで俺に?」


「決まってるじゃない。そこに倒れているリッパー、やったのはお兄さんでしょ?」


「リッパー? そのトゲ頭野郎、リッパーっていうのか。んで、それがどうした」


「このスラム街でもそこそこ危険人物として有名だった彼を剣が刺さったまま一撃で倒しちゃうなんて尋常じゃない。スラム街のリーダーのうちの一人として放っておくことも出来ないのよ」


リーダー。うんうん、リーダーリーダー。言うだけはタダだからね。


「なぁんか、信じてなさそうだよね。ちょっとそこの二人、私が誰か、分かるよね?」


「「はい!! 紅蓮乙女ことヘルラ様です!!」」


「ん、よろしい。もうどっか行っていいよ」


さっきの二人組みが焦りながらそう言ったあと、二人はスラム街の奥の方へと消えていった。


「マジなの?」


「うん、マジだよ」


にわかには信じがたいけど、さっきの様子を見るに嘘ではなさそうだな。


「んー、じゃあ......話、しようか?」


瑞々しい唇を三日月のように歪めながら赤い瞳を光らせて彼女は言った。

この時俺は背筋がぞっとするような冷たさを感じたのであった。



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